J-PARCハドロン実験施設で中性K中間子の非常に稀な崩壊パターンの探索を続けるKOTO実験グループが、2018年9月の活動報告書を公表しました。
KOTO実験は、J-PARCの大強度陽子加速器(メインリング)からハドロン実験施設に取り出された陽子ビームを金の標的に衝突させ、寿命が長い中性のK中間子(KL)を生成し、その粒子が非常に稀な割合でKL→π0ννというパターンに崩壊する事象を見つける実験です。
実験グループは2013年5月の物理ランで、KEKで以前行われた実験が持つ世界記録と同程度の感度を達成しました。その後、背景事象を除去するための測定器の改良を行い、2015年4月に物理ランを再開しました。報告書では、2015年に収集したデータの解析から、崩壊の新たな上限値として3.0×10-9(3億分の一)を得たことを報告しています。この値はこれまでの世界記録を10倍更新するもので、7月初旬に韓国のソウルで開かれた高エネルギー物理学国際会議「ICHEP2018」で発表しました。
研究グループでは、今後さらに検出器の改良を重ね、データ取得を続けていきます。
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