ミューオンのLFV(Lepton-Flavor Violation:レプトンの世代数非保存)探索を目指す素核研LFVグループが、2019年9月の活動報告を行いました。
素核研LFVグループでは、ミューオンLFV探索研究として、MEG II実験、COMET実験を行なっています。MEG II実験ではLFVグループが新規に製作した液体キセノン冷却システムが実験遂行場所のスイスPSI研究所で稼働中です。COMET実験では、2019年8月までに使用する機器に対して耐放射線試験を実施してきました。耐放射線性の向上が期待される新型のSiPMという光子計測デバイスに対して中性子照射を行いました。この試験では従来型に加えて一定の照射量までは暗電流が低く抑えられていることが確認できましたが、COMET実験の本番で使用するにはさらなる開発研究が必要であることが判明しました。今後も光デバイスメーカーと調整しながらSiPMの改良を目指します。ビーム計測に使用するLYSO結晶に関しても中性子照射試験を実施しました。微量ながら不純物が混入していたり結晶内に不均一性が存在すると結晶から継続的に残光が発せられることが懸念されていましたが、現在までの試験では大きな影響がない事が確かめられました。COMET実験ではこれらに加えて、ビーム計測に使用するストローチューブ飛跡検出器の製作、実験の背景事象を同定するための宇宙線検出器の開発研究、検出器信号を読み出すエレクトロニクスの開発も行なっています。
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