活動報告

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欧州原子核機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)でのATLAS実験に参加しているKEK素粒子原子核研究所のグループが、2020年3月の活動報告を行いました。

ATLAS実験とは、スイス・ジュネーブ近郊にあるCERNのLHCで行われている加速器実験の一つで、KEKを含めた国内外合わせて約180の研究機関からの約3000人の研究者が共同で行なっています。世界最高の衝突エネルギーで陽子と陽子を衝突させ、その反応を観測することで、素粒子の標準理論の精密検証や新粒子の探索を行っています。

LHCは4年かけて行われた重心系エネルギー13TeVでの陽子・陽子衝突(Run2)を2018年12月に予定通り終了しました。現在、ATLAS実験グループはRun2で収集した全データの物理解析を進めており、現在までに合計35個の物理結果を国際会議などで公表しました。KEK ATLASグループでは特に、素粒子に質量を与えるヒッグス粒子の物理や新粒子の探索などの研究を進めています。

物理解析の他、検出器改良にも取り組んでいます。例えば、新粒子などの崩壊によって生成されるミュー粒子を高速で検出し運動量判定まで行う初段ミュー粒子トリガーの改良を2021年から始まるRun 3に向けて現在行っています。2027年にはLHCの性能を大幅に改善した高輝度LHC (HL-LHC)も開始予定であるため、Run3に向けた改良と同時進行で検出器の大幅改良にも注力しています。例えば、HL-LHCで導入予定のピクセル検出器をKEKや九州大学を含む日本グループで製作しており、2020年4月からはモジュールのプロトタイプ機の製作を開始する予定です。

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ATLASグループ