活動報告

所要時間:約2分

極低エネルギーの中性子、超冷中性子(UCN:Ultra-Cold Neutron)を用いて中性子電気双極子モーメント(中性子EDM: Electric Dipole Moment)の探索実験を行なっている、KEKの素核研UCNグループが2021年1月の活動報告を行いました。

中性子は電気的に中性な粒子ですが、非常に小さなスケールで見れば内部に電荷の偏りがあるかもしれません。中性子EDMはこの電荷の偏りから生じます。素核研UCNグループはTUCAN国際共同実験に参加し、中性子EDMを精密に測定することでCP対称性(物質・反物質の対称性)の破れの起源を解明することを目指しています。

2017年から開始したUCN生成実験と並行して、現在UCN源のアップグレード計画も進んでいます。TUCAN国際共同実験のためのUCN源の開発には日本グループが大きく貢献しています。特にKEKでは最重要要素であるヘリウム3冷凍機の開発を行っており、2020年に完成、KEKにてヘリウム4で代用した冷却試験が行われました。試験の結果、低温リーク(ヘリウムが断熱真空槽など本来区分けされている領域へ漏れてしまうこと)も超流動リークも起きないことが確認されました。さらに、ヘリウム4を使用して無負荷時に最低1.25Kまで冷却されることも実証されました。

ヘリウム3冷凍機は2021年夏に、実験装置を設置するカナダTRIUMF研究所に輸送され、ヘリウム3を使用した冷却試験の後、2022年にUCN生成試験を行うことが計画されています。

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UCNグループ

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