クライオジェニックスグループが2021年5月の活動報告を行いました。クライオジェニックスグループは、Belleソレノイドをはじめとする超伝導電磁石や液化アルゴン・キセノン検出器など、粒子検出器で利用される極低温機器の開発支援や運転を行っています。マイナス272度以下の超低温冷却を必要とする超低速中性子源(UCN)やハイパー原子核を生成する液体水素ターゲットなどの技術的な支援もしています。
今回の活動報告では、前回に引き続きCOMET実験向けの超伝導磁石システムの開発状況を報告しています。2020年度には超伝導磁石システムの内、ミュオン捕獲部と輸送部最上流側のコールドマスを工場内で組み上げました。また、J-PARCハドロン南棟に設置済みの輸送ソレノイド磁石の湾曲部と、地上に設置された冷凍機を接続する作業も進めています。
素核研UCNグループならびにそのコラボレーション(TUCAN)メンバーと合同で開発を進めてきた新しいUCN源用クライオスタット(断熱構造を持った装置)は、KEKで実施する冷却試験において、想定の性能を満たすことが確認されました。このクライオスタットは、UCN設備が置かれるカナダのTRIUMF研究所へ2021年7月に搬出予定です。
Belle II検出器の最深部にあるピクセル検出器(PXD)とシリコンストリップ検出器(SVD)を効率よく冷却するためのCO2冷却設備(IBBelle)については、ドイツのMax Planck Institut für Physik(MPP)グループにリモート監視・操作を依頼しつつ、クライオジェニックスグループとBelleグループも連携して保守運用を行っています。
この他に、スイスのLHC/CERNが第三期実験期間(Run3)に向け実施している機器の更新作業のひとつ、ATLAS超伝導ソレノイドの計測・制御機器の更新作業を支援しました。クライオジェニックスグループ側からはオンライン会議等で作業に参加しましたが、世代交代したCERN側の担当者と接する良い機会となりました。
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クライオジェニックスグループ
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