エレクトロニクスシステム(E-sys)グループが2021年6月の活動報告を行いました。E-sysグループは、世界最先端の研究で活用される世界に1点だけの実験装置のセンサーからシステムに至るまでの開発等を行なっています。研究開発は、素粒子原子核研究所のみならず加速器研究施設や物質構造科学研究所、放射線科学センター、超伝導低温工学センターといった機構内の様々な施設や他大学と一緒に行っています。
E-sysグループの研究開発拠点は、つくばキャンパスと東海キャンパスの2カ所です。今回、E-sysつくばでは、J-PARCで実施予定のg-2/EDM実験用シリコンストリップ集積回路の開発状況を報告しています。こちらの集積回路の開発状況に関しては、過去に素核研のニュース(https://www2.kek.jp/ipns/ja/post/2020/03/20200309/ )でもご紹介しています。本記事からの進展として、現在、集積回路は量産がほぼ完了し、それらを検出器読み出し用基板へ実装する作業段階に入ろうとしています。
E-sys東海では、今年から東海キャンパス2号館に実験スペースが開設され、データ通信速度を従来の10倍(10Gbps)に向上した通信システムなどを開発しています。このデータ高速転送技術を用いて、将来的にはトリガーと呼ばれる装置が不要となる、高速システムの開発を目指しています。トリガーは、データ取得開始の信号を出すと共に、調べたい粒子反応だけを選び出す装置です。加速器から常時大量に届く粒子の反応全てから調べたい反応だけを選び出すため、処理に時間がかかってしまいます。そこで、トリガーがない(Trigger-less)システムの構築が期待されています。
この他に、炭化珪素(SiC)と呼ばれる材料を使用した検出素子開発や、福島県の原子炉の廃炉事業の一環として、未臨界モニターシステムの開発の様子を報告しています。
E-sysグループではデバイスやシステムの開発に加え、若手を育成し先端技術の専門家を増やすことを目的とした”Open-It”というネットワークを運営しています。今回は、2020年11月に開催された計測システム研究会の様子も報告しています。
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エレクトロニクスシステムグループ
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