活動報告

所要時間:約3分

理論センターが2021年7月の活動報告を行いました。理論センターでは素粒子、原子核、宇宙物理学に渡る様々な分野の研究者が、同じ場所で分野の垣根を超えて日々一緒に研究に取り組んでいます。SuperKEKB加速器を用いたBelle II実験や、J-PARC加速器を使用してクォークやレプトンの性質を調べる実験など多くの実験プロジェクトがKEKで進行中であることを活かし、理論センターは実験グループとも綿密に連携を取っています。理論研究は関連実験の最新データを利用し、実験を行う上では探るターゲットを明らかにするために、理論センターと各実験グループは互いにとって非常に重要な存在なのです。この様な研究スタイルは素核研の理論センターの大きな特徴となっています。2021年度からは宇宙物理学分野の准教授1名、新しい研究員2名、総合研究大学院大学(総研大)の新入生11名を迎え、研究活動のさらなる活性化が期待されています。

コロナ禍での研究活動では、オンラインによるセミナーや研究会が定着してきました。移動の必要がないことの利点が研究者に広く認識されたことで、コロナ禍が収束したあともオンライン形式のセミナーや研究会は続くものと予想されます。理論センターでは、こうした時代の変化に対応すべく、対面形式とオンライン形式のハイブリッド化への準備を進めています。

研究論文に関しては、2020年に理論センターから発表した論文数は計110件でした。今回の活動報告では、「符号問題」(注)の新たな解決方法を提唱した論文や、宇宙誕生直後に生じた重力波(背景重力波)が検出され、同時期にミニブラックホール(原始ブラックホール)が⽣成された可能性などについて議論した論文など、2020年の中でも主な成果となる4つの論文について紹介しています。

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理論センター

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(注)符号問題:
強い力を記述する量子色力学(QCD)の性質を調べる強力な手法の一つに、コンピュータを用いたシミュレーションがあります。この手法では、ある量を確率と解釈して計算を行います。しかし、ある状況下では、その量を確率と解釈できなくなるため従来のシミュレーション手法が使えなくなってしまいます。この問題は符号問題と呼ばれ、QCDだけでなく理論物理学の様々な場面で起こるため、解決が望まれる重要な課題の一つとなっています。

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