ニュートリノグループが2021年11月の活動報告を行いました。 ニュートリノグループでは、茨城県東海村にあるJ-PARC(大強度陽子加速器施設)でT2K実験をはじめとするニュートリノの実験研究を行なっています。T2K実験では、J-PARCで生成した大強度のニュートリノをJ-PARCから295km離れた岐阜県飛騨市神岡町にある巨大検出器、スーパーカミオカンデ(SK)に打ち込み、ニュートリノと反ニュートリノそれぞれで「ニュートリノ振動」と呼ばれるニュートリノが空間を伝わるうちに別の種類のニュートリノに周期的に変化する現象を測定します。そこから、ニュートリノのCP対称性の破れ(粒子・反粒子の性質の違い)の探索などを行っています。
J-PARCでは2021年4⽉27⽇に今期のビーム運転を終え、ニュートリノモードで1.78×1020 POT(標的に当たった陽子の数)のデータを取得しました。その後ニュートリノ実験施設・T2K実験グループは1年半に及ぶ保守・増強期間に入りました。T2K実験関連では、前置検出器ND280の増強を進めています。ND280の新たなプラスチックシンチレーター検出器部分であるSuperFGDでは、これまでよりニュートリノ反応を細かく、そして3次元情報まで捉えることにより、より高解像度のデータを取得できるようになります。COVID-19の影響などで組立・試験工程のスケジュールを再調整しつつも急ピッチで製作を進めています。
ニュートリノ実験施設の保守・増強に関しては、1.3MWまで増強するJ-PARCの⼤強度ビームに対応するため、冷却能⼒を増強した新型電磁ホーンやそのための新しい320kA駆動⽤電源、⼤強度ビームの熱負荷に耐えうる新型標的およびその新冷却系等の製作を進めています。
素粒子の標準理論にはない新しいニュートリノ(ステライルニュートリノ)を探索するJSNS2実験では、今期のビーム運転も2021年1⽉から6⽉まで順調にデータ収集を⾏い、~1.5×1022 POT分のデータを取得しました。さらなる感度向上のため、JSNS-II 新検出器の設置工事も進めています。
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ニュートリノグループ
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