2022年10月の活動報告 : 理論センター
2022年10月20日
理論センターが2022年10月の活動報告を行いました。理論センターでは素粒子、原子核、宇宙物理学に渡る様々な分野の研究者が、同じ場所で分野の垣根を超えて日々一緒に研究に取り組んでいます。SuperKEKB加速器を用いたBelle II実験や、J-PARC加速器を使用してクォークやレプトンの性質を調べる実験など多くの実験プロジェクトがKEKで進行中であることを活かし、理論センターは実験グループとも綿密に連携を取っています。理論研究は関連実験の最新データを利用し、実験を行う上では探るターゲットを明らかにするために、理論センターと各実験グループは互いにとって非常に重要な存在なのです。この様な研究スタイルは素核研の理論センターの大きな特徴となっています。
理論センターからの発表論文は、随時 https://www2.kek.jp/theory-center/theory/preprint/でアップデートしています。今回は2022 年3月以降の主な成果として以下の5つの論文を紹介しました。
- 理想的な乱数実現へ〜「パリティ対称性」利用が有効 [T. Tsurumaru, T. Sasaki, I. Tsutsui, “Secure random number generation from parity symmetric radiation,”
Communications Physics 5, 147 (2022)]
概要については KEK ホームページで広報されました。
https://www.kek.jp/ja/press/202207071401/ - B 中間子のセミレプトニック崩壊 B→πlνの形状因子の格子計算
[B. Colquhoun, S. Hashimoto, T. Kaneko, J. Koponen, , “Form factors of B→πlνand a determination of |Vub| with Mobius domain-wall fermions,” Phys. Rev. D 106
(2022) 5, 054502; arXiv:2203.04938] - タキオン不安定性を持つヒッグス-R2 乗インフレーションが予言するミリヘルツ帯
背景重力波の検出可能性 [D.Y. Cheong, K. Kohri, S.C. Park, “Primordial Black Holes and Second Order Gravitational Waves from Tachyonic Instability induced in Higgs-R2 Inflation,” Journal of Cosmology and Astroparticle Physics (JCAP) 2022掲載受理, arXiv:2205.14813]. - 原始ブラックホールの存在量を予言する公式 [T. Matsubara, M. Sasaki, , “Non-
Gaussianity effects on the primordial black hole abundance for sharply-peaked primordial spectrum,” JCAP投稿中; arXiv:2208.02941] - ビームダンプでニュートリノ実験 [M. Nojiri, Y. Sakaki, K. Tobioka, D. Ueda, “First evaluation of meson and tau lepton spectra and search for heavy neutral leptons at ILC beam dump,” arXiv:2206.13523.詳しくは以下の資料をご覧ください。