COMET実験の主検出器CDCをKEK富士実験棟に搬入
2015年3月27日、COMET実験の主検出器であるCDC検出器が、建設のため富士実験棟のクリーンルームに搬入されました。
COMET実験は、ミューオン稀崩壊現象の一つである「ミューオン - 電子転換過程」の探索を行う実験で、KEKや大阪大学、九州大学などの国内の大学・研究機関に加え、イギリス、中国、ロシアなど世界10カ国以上が参加する国際共同実験です。 KEK東海キャンパスの大強度陽子加速器施設J-PARCにて実験を行う予定であり、ミューオン稀崩壊の世界最高感度での分岐比測定が期待されています。
今回搬入された検出器は円筒状のワイヤードリフトチェンバー(Cylindrical Drift Chamber)で「CDC検出器」と呼ばれています。 電子の運動量を測定する装置で、COMET Phase-I でミューオン - 電子転換過程を探索するための心臓部となる検出器と言えます。 これまで、大阪大学を中心としたCOMET CDCグループ内で、検出器の開発やシュミレーション、試作機による動作試験が行われてきました。
現在はまだ、エンドプレートと外筒CFRP(強化炭素繊維プラスチック)を結合した外側だけの状態ですが、これから数十ミクロンという細さのワイヤーを一本ずつ丁寧に張る作業が始まります。 最終的にCDC検出器の内部に2万本のワイヤーを張り終えるのには約半年かかります。 その後、内筒CFRPをインストールし、ガス漏れ試験や宇宙線を使った動作試験等を行いながら、本実験へ向けての準備を進めて行きます。
まだまだ先は長いように思えますが、COMET CDC検出器の建設が佳境に入り、段々とPhase-Iの全貌が見えてきました。 世界最強の大強度ミューオンを使って、世界最高感度でのミューオン - 電子転換過程を探索するCOMET実験の続報をお待ちください。
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