2010年5月18日
KEK超伝導低温工学センター長の山本明教授が、第14回超伝導科学技術賞・特別賞を受賞しました。今回の受賞は、近年飛躍的に発展した素粒子・宇宙線・加速器科学分野における超伝導技術の開発において多大な貢献をしたことが認められたものです。
山本氏は、国際協力により建設が推進された欧州合同原子核研究機関(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)において、高度な性能が求められる超伝導磁石システムを完成させ、さらに素粒子物理実験用超伝導磁石の作成にも貢献しました。また、南極周回気球により宇宙線観測用超伝導磁石の開発では、高強度化されたアルミニウム安定化超伝導線材を新たに開発し、超伝導コイルを飛躍的に軽量化することにより、素粒子の透過性に優れた磁場空間を実現することに成功しました。この超伝導線材は、理化学研究所の世界初の超伝導リングサイクロトロンにも導入されています。このように新型の磁石や線材の開発に成功し、先端科学技術と国際協力の進展に大きく貢献した実績が極めて顕著であると認められ、今回の受賞に至ったものです。
同賞は、社団法人未踏科学技術協会・超伝導科学技術研究会によって平成8年に創設されました。エネルギー・バイオ・情報・交通等、多岐にわたる分野においてキーテクノロジーの役割を果たすと期待されている超伝導技術開発の分野において、卓越した研究成果をあげた研究者等を顕賞するものです。授賞式は、4月13日に東京において開催された第36回シンポジウム/第14回超伝導科学技術賞授賞式において行われました。