2010年7月2日
1999年から運転を続けてきたKEKのBファクトリー(KEKB加速器/Belle測定器)は、ルミノシティ*増強のための高度化作業に伴い、6月30日に運転を停止しました。
* 電子ビームと陽電子ビームの衝突頻度を表す加速器の性能
運転停止に伴い鈴木厚人機構長は「今日という日はKEKの歴史に残る日だ。非常に喜ばしい。KEKBとBelleが成し遂げた成果はもちろん素晴らしいが、それを可能にしたみなさんのアイデア、努力、忍耐、執念に非常に敬意を表します」と述べました。集まった100人程の関係者が見守る中、午前9時に電子ビームと陽電子ビームを停止するためのボタンを押すと、関係者から大きな拍手が巻き起こりました。
Belle実験グループ代表の一人、ハワイ大学のトム・ブラウダー教授は「11年前にKEKBとBelleが実験を開始したとき、世界最高のルミノシティを達成すると外部の人は予想していなかった。ここに至るまでの道のりは平坦ではなかったが、小林・益川両博士にノーベル賞をもたらしたB中間子のCP対称性の破れの確認など、世界各地の大学院生や研究者が数多くの論文を執筆するための重要なデータを得ることができた。これらのデータで得られた科学上の知見の大きさははかりしれない。」と述べました。