つくばに初雪がふりました。
深夜から降り続いた雪は、9日の朝には深いところで10cmにもなりました。広報室の前にそびえるケヤキの葉っぱがまだ落ちきっていない頃に雪がふるというのは、つくばでは珍しいことです。この日、落ち葉が雪に混じりながら舞うという光景に接して、新鮮な驚きを感じた人もいたようです。つくばはあまり雪深いところではありませんが、例年1、2回ほど雪が積もることがあります。予期せぬ天からの贈り物には植物だけでなく、勿論KEKの研究も影響を受けざるを得ません。今日はKEKの加速器に雪がどんな影響をもつのかをお話ししたいと思います。
雪が降るとよく交通機関によっては通行できなくなり、止まってしまいます。加速器はどうでしょうか? 雪が降ると加速器も止まるとお考えの方もいらっしゃいますか? 幸いなことに、そうはなりません。KEKにはたくさんの加速器がありますが、そのほとんどが放射線遮蔽のために地下にあります。地上にある加速器ももちろん建物の中にありますから雪が降っても加速器そのものは影響をうけません。加速器は雪には平気なのです。
でも人間の方はたまりません。まず通勤が一苦労です。
つくばには電車はないので、ほとんどの人間は車で、人によっては自転車で、通勤しています。そして、加速器を使った実験は24時間体制で行いますので、運転の交代が夜中の1時と朝の9時にあります。雪のしんしんと降る夜中の1時に車で出勤するのはちょっとした骨折り仕事です。
雪による骨折り仕事をさせられるのは、出勤する人ばかりではありません。夜中や明け方に加速器や測定器の運転をしている人たちは眠い目をこすりながら交代の到着を待っているわけですが、雪の日は交代の到着が遅くなることもままあります。「朝、起きたら雪がふりつもっていた」場合、交代に遅れた人にやむをえない事情があり、待つ方がもう一踏ん張りを余儀なくされます。また、広い研究所の中での移動では自転車を使う人も多いのですが、これもなかなかキビシイことになります。
でも、雪が降っても悪いことばかりではありません。雪のために生じた余分の仕事を一段落して、まわりの自然に目を向けると、なんといってもこんなきれいな雪景色が見られるのですから。そんな時、1年にめったにない雪のKEKを楽しむ人々も少なくありません。これまで草花の紹介で、KEKは広い敷地の中にひろがるいろいろな自然についてお話ししてきましたが、今日はめずらしいKEKの雪景色にまつわる話題をお話ししました。
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