この事業(サマーチャレンジ)は、KEK一般寄附事業から支援を受けています

過去にサマーチャレンジで学んだ卒業生から、
皆様への熱いメッセージです。

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植木 優 (12期生) 東京大学理学系研究科 地球惑星科学専攻

 私とサマーチャレンジとの出会いは,元来そこまで本意に沿ったものではありませんでした。 学科配属で第1志望の学科に落ち,第3志望だった物理学科に配属され失意の底にいたときのことです。 私は配属時ガイダンスでサマーチャレンジの存在を知りました。 当初は「まあ少なくとも学部の間は物理とともに生きていくわけだし,しばらくの間のモチベーションにしていくか」 という程度の心持ちで応募していました。
 このような弱い動機ではありましたが,選考に通過し,関連の通知が届くたびに期待が増していくのを感じました。 とはいえ,参加当日の朝まで「うまく人とコミュニケーションが取れない中果たしてうまくやっていけるのだろうか」 「物理や数学が苦手だけれども大丈夫だろうか」などといった不安は拭えませんでした。 しかしつくばに入ると一転,参加者はみな親しみやすい人ばかりで, 学科でひとりぼっちだった私もたちまち参加者の間で人気者になりました。 また講義についてもわかりやすく, 学科で落ちこぼれだった私もなんとか演習についていけるレベルにはもっていくことができました。 そして何よりもサマーチャレンジに参加して大きな糧となったこと, それは研究者としての環境を,初歩の初歩ではあれども身をもって経験することができたことです。 演習では装置の故障などトラブルの連続で心が折れそうになったことが多々あった中で, 演習班のメンバー全員が力を合わせて発表までこぎつけたり, キャリアビルディングにて研究者の声を生で聞く機会を得ることができたり, 研究者を取り巻く環境や熱意を知り,感じ取る経験ができました。 一言で言うならば,どん底生活でお先真っ暗だった私の人生に光が差しました。 今でも交流のある仲間に出会えたのはもちろんのこと, サマーチャレンジを通して得たモチベーションを手に自ら進路を切り開き, 大学を変えて元来やりたかった地球物理の分野に進むことができました。 そして研究者を取り巻く環境の厳しさを知ったうえでもなお, この分野で研究を続けていきたいと思えるようになりました。
 この文章を読んで少しでも気になった方は今すぐサマーチャレンジに応募してみてください。人生が変わります。

塚原 壮平 (12期生) 九州大学理学府物理学専攻 (粒子系理論物理学研究室)

 私がサマーチャレンジについて知ったのは、学科の掲示板に貼ってあったポスターを偶然目にしたのがきっかけです。 当時の私は理論物理学に強く惹かれており、実験にはあまり明るくありませんでした。 実験を知らないまま理論専攻に決めてしまってもいいのかという不安から、応募したことを覚えています。
実習に先立って多くの懸念がありました。バックグラウンドも興味も違う班のメンバーと仲良くできるのか、 実験についていけるのか…。しかし、それはただの杞憂でした。 サマーチャレンジに応募してこられる方は物理学を専攻する人の中でも、 とりわけ物理学に強い興味を抱いている方がほとんどです。物理学という共通の話題、 言語をもってすればすぐに打ち解けられました。 また、バックグラウンドの違いも結果的には大いにプラスに作用したと思っています。 食事中やコーヒーブレイクでは大学でしている勉強や興味のこと、 それぞれの学校の特色や研究の話題等で大いに盛り上がりましたし、 中にはその後の進路選択において非常に有用な知見もありました。 実験中も班のメンバーの PC 技術の高さに感銘を受け、ソフトやプログラミングの勉強のモチベーションになりました。 LaTeX や Python を使い始めたのもこれがきっかけです。
 私は結果的に素粒子論を選択しましたが、サマーチャレンジを通し常に実証実験を意識するようになりました。 今の私の興味も、根底はサマーチャレンジに通じています。 2年前の夏、小さな勇気で踏み出した一歩が、まさに一生分の財産になりました。

有留 翔一 (13期生) 東京理科大学 理学部第1部 物理学科

 サマーチャレンジに参加して得られるものは非常に多いです。 同じ分野を研究したいと考えている仲間に出会え、世界最先端の研究をしておられる先生方の講義を受けることができ、 つくばや東海村の研究所を見学でき、 そして何といっても KEK という世界的に有名な研究所で一流の研究者の先生方に教わりながら実験を行えることです!
私は宇宙から飛んでくるミューオンを用いて、ミューオンの寿命を測定することと、 弱い相互作用が働く系における Parity 対称性の破れを確認する実験を行いました。 磁場をかけるためのコイルの設計・製作から始め、論理回路を組み、 ROOT を用いた実験結果の解析も同じグループの友達と協力して行いました。 実際の研究の場で行われているこれらのプロセスは、大学で行う実験の授業では絶対に体験できない経験です。 弱い力の Parity 対称性の破れは素粒子物理の中でも重要な性質の1つであり、 みんなで力を合わせて実際に確認できた時は大変うれしかったです。
 私自身、今は大学4年生なのですが、卒業研究や大学院ではミューオンに関係する内容の研究をしたいと考えています。 それらの研究をしようと考えた1つのきっかけがサマチャレであったことは言うまでもありません。 素粒子実験だけではなく、サマチャレに参加する方は宇宙や物性系の研究、 各分野の理論系の研究に進まれる方も多くいます。 サマチャレに少しでも興味を持っている方がいらっしゃるのならば、是非応募してみて下さい。 絶対に忘れられない経験を得られるはずです。

松下 凌大 (12期生) 東京大学大学院 理学系研究科

 私は第12回のサマーチャレンジに参加し、ワイヤーチェンバーを自作して、放射線を測定する演習をしました。 サマチャレの演習も抗議もハイレベルで楽しかったのですが、 なによりも参加してよかったと思うことは全国各地に友達が出来たことです。 サマチャレで知り合った人々には、沢山の良い刺激を受け、色々なことを考えるきっかけとなりました。
 短い期間でしたが、一生の思い出が出来ました。皆さんもぜひ参加しませんか。

 

 

中島 樹利菜 (12期生) 総合研究大学院大学高エネルギー加速器科学研究科 素粒子原子核専攻

 今、このページをすごく参加したい!と思って見ていますか? それとも参加してみたいけれどどうしようと迷いながら見ていますか? 私はサマーチャレンジに参加できたことが かけがえのない体験だったと思っています。
 サマーチャレンジでは講義と演習が⼤部分を占めています。 講義では様々な分野のプロが皆さんのためだけに講義をしてくださいます。 今まで興味のなかった話にもきっと興味を持つことができるような講義のはずです。 また、周りの人たちが活発に質問する場にも⾝を置くことができ、きっと刺激を受けると思います。 演習では、初めて会った⼈たちと1つの実験を⼀緒に進めて達成する楽しさと難しさを知ることができると思います。 私の演習班では実験計画を自分たちでたてました。他の班に比べて人数が多いこともあり、 意見をすり合わせることに苦労しました。ですが、その分実験が上⼿くいった時の喜びは大きかったと思います。 また、私は大人数で実験を進める際の自分の役割を考えるきっかけにもなりました。 これらのことは、今でも他人に意見を伝える際に大いに役に立っています。 サマーチャレンジを通して、自分が何を知らないか分からないかを知る、 分からないことを素直に聞くといった当たり前であるが難しいことを経験できるはずです。 かけがえのない友達もきっとできます。ぜひ積極的に参加して、楽しい夏を過ごしてください!