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2024.11.27


ダークマター探索のための希釈冷凍機が、神岡に移設されました

量子場計測システム国際拠点(WPI-QUP)では、微弱な電磁波の測定やダークマターなど未知の粒子の検出のために超伝導転移端センサー(Transition Edge Sensor, TES)の開発を進めています。TESを極低温状態まで冷やし温度を維持するために使用する希釈冷凍機の1台を、2024年11月に東北大学ニュートリノ科学研究センター(RCNS)とQUPとのダークマター観測に係る共同研究の一環として、KEKつくばから岐阜県神岡鉱山の地下実験施設へ移設しました。

KEKのQUP実験室を出発

QUPの研究プロジェクトのひとつである「極低温検出器による実験 ‐QUP-神岡-DMプロジェクト」では、ダークマター粒子が原子核などの物質に非常に稀にぶつかる可能性を利用して、その痕跡を捉えようとしています。実験に地下施設を使用することにより、検出器にとって大量の宇宙線や環境由来によるバックグランドを遮蔽することができ、ダークマター検出の感度をあげることができます。

今回移設したのは、東北大学の神岡極稀現象研究拠点 (Kamioka Extremely Rare-phenomena and NEutrino-research Laboratory, 通称 KERNEL:カーネル)実験スペースで、QUPがRCNSと進める重要な研究となります。

神岡鉱山に到着

移設作業の指揮をとったメンバーの一人である、QUP副主任研究員:Suerfu Burkhant特任助教は「今のところ、極低温検出器での実験を非常にバックグランドが少ない環境で行える施設は多くありません。今回、QUPの希釈冷凍機を神岡の地下実験エリアに設置できたので、ダークマター検出やその他の稀な事象の観測実験で新たな手法をいろいろ試す絶好の環境を整えることができました。」と今後の展望を述べました。



(関連URL)
東北大学ニュートリノ科学研究センター(RCNS)
https://www.awa.tohoku.ac.jp/rcns/

神岡極稀現象研究拠点
https://www.awa.tohoku.ac.jp/rcns/Research_profiles/res_introduction_kernel.html

QUPニュース|超高感度センサー開発のための、希釈冷凍機が揃いました。
https://www2.kek.jp/qup/news/detail20230424.html

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