KEK理論センターでは今年度もプロジェクト「弦からヒッグズ/フレーバー」のイベントを企画しています。今回は 北大の小林達夫さんに「Anomalous U(1)とFI項のstring 現象論入門」と題して、9月19日、20日、21日の3日間にわたり入門講義をしていただくことになりましたのでご案内いたします。

ゲージ理論がアノマラスであるということは理論の破綻を意味しますが、超弦理論では一見アノマラスであっても超弦特有の機構によって相殺されることがしばしばあり、それから導かれる場の理論的、あるいは幾何学的帰結は理論の発展に重要な役割を果たしてきました。

特にU(1)ゲージ対称性は、「Green-Schwarz によって発見されていない Green-Schwarz機構」によってアノマリーが相殺され、その結果は超弦現象論や宇宙論に非常に面白い応用をもつことが知られてきました。

今回はこの古くて新しい重要な理論を小林さんに、特にこの方面に馴染みのない我が国の超弦理論研究者にもわかりやすく基礎から解説していただこうと思います。興味をお持ちの方はぜひどうぞご参加ください。

今回は残念ながら旅費のサポートはありませんが、参加したいがどうしても財源の都合がつかない方は 溝口

mizoguch@post.kek.jp

までe-mailで直接ご相談ください。どうぞよろしくお願いします。

高エネルギー加速器研究機構
素粒子原子核研究所理論センター
溝口 俊弥
tel 029-879-6092
fax 029-879-6101

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入門連続講義「 Anomalous U(1)とFI項のstring 現象論入門    」
プログラム
講師 小林 達夫
場所 KEK 研究本館1F 第1会議室(研究本館入口入って左、
東側つきあたり外からも見えるガラス張りの部屋です)

平成29年9月19日(火)13:30〜16:00
1. イントロダクション:場の理論の模型
場の理論の模型において、FI項の応用例を紹介する。
(1) D-term inflation,
(2)  Froggatt-Nielsen 機構,
(3)超対称性の破れの機構など。

平成29年9月20日(水)10:00〜12:30
2. 超弦理論
様々な超弦理論において、ベクトルボソンがmassive となる機構
を紹介し、Type II とヘテロ型理論の違いなどを説明する。
非摂動論的効果をU(1)対称性の観点から解説する。

平成29年9月20日(水)13:30〜16:00
3. 超重力理論
2.の内容を踏まえ、超重力理論におけるmassive ベクトル場の
記述とモジュライ場に依存したFI項を紹介する。

平成29年9月21日(木)10:00〜12:30
4. 応用編
これまでのことを踏まえ、超重力理論の枠組みで、moduli
stabilization や Inflation などについて、議論する。
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