メンバー
シニアフェロー Senior fellow
萩原 薫
HAGIWARA, Kaoru所属グループ | Alumni 2015 academic year |
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居室番号 | 207 |
Eメールアドレス | kaoru.hagiwara-AT-kek.jp |
◎研究内容
私の最近の研究は、様々な実験データ、特に精密測定結果の中に標準模型を越える新しい物理の効果を探ることを、主な目標としてきました。この方針は、将来のコライダー実験で新しい物理が明らかとなるまで、堅持するつもりです。微かな手掛かりから新しい物理を予想し、検証可能な予言をすることを研究目標とするわけですから、基幹となる解析方法、標準模型の定量的予言の信頼性が最も大切であり、それらは自分自身で開発し、計算するように努めています。新しい物理の探索に適した電弱統一理論の輻射補正の枠組みを作ったり、ミューオンの異常磁気能率の再評価をしたりしました。今後は、精密物理として成熟しつつある、宇宙論的観測量を私自身の確固としたデータベースに加えたいと思っています。
検討すべき素粒子模型としては、階層性を持つ超対称性統一理論、特に重力との統一理論に最も魅力を感じます。にも関わらず、統一理論に現れる恐ろしいほどの規則性、普遍性が本質的であり、クォークやレプトンの質量行列、そして我々が棲む現実世界の不規則性はそこから導かれるはずである、という考えには違和感を覚えます。私は、対称性とその破れの物理を様々な模型によって考察しながらこの問題を追求し、基礎的なデータの積み重ねによって新しい物理を展望する、ボトムアップ的研究を捨てないつもりです。
近い将来の素粒子物理学の最も重要な実験は、LHC実験です。この実験の成否が、素粒子物理学分野の今後を左右することになります。でも、LHC実験から素粒子模型構築のために有用な情報を引き出す作業には、大変な困難が予想されます。より多くの優秀な理論家が、LHC実験という世紀の大イヴェントに参加して、新しい物理発見の喜びを実験家と共有できるようにしたいと思います。(2005年2月5日)