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[金茶会] 宇宙放射線から切り拓く学際研究:高エネルギー大気物理学から月面物理学へ

  • SPEAKER 榎戸輝揚, 京都大学理学研究科/理化学研究所開拓研究本部
  • PLACE 4号館セミナーホール リモート会場:東海1号館115室、仁科記念棟106室
https://www-conf.kek.jp/kincha/
X線天文学を始めとする宇宙放射線の測定は、王道の高エネルギー天文学だけではなく、多様な学際研究を生み出している。たとえば、小型の放射線モニタを用いて、雷や雷雲からのガンマ線を測定することで、雷での光核反応の発見、雷雲での粒子加速機構の解明、雷のトリガーの謎などを扱う高エネルギー大気物理学が勃興している。これをシチズンサイエンスで推進すると同時に、放射線の多地点観測を月で展開し、月の水資源を探索する「MoMoTarO (Moon Moisture Targeting Observatory)」を開始した。月面に叩き込まれる銀河宇宙線は、月の表面で高速中性子を発生する。この中性子が表面から漏出する際に、水が存在すると効率よく運動エネルギーを失い、熱・熱外中性子として表面から漏出してくる。月面ローバーに搭載した中性子モニタで水資源を探すとともに、月周回機に搭載すれば中性子の寿命を測定でき、宇宙遠方からのガンマ線バーストを測定すれば、重力波宇宙論にも貢献することができる。宇宙放射線の視点で展開する多様な学際研究を紹介したい。


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