スパークチェンバーとは
スパークチェンバーは宇宙線の飛跡を表示する装置です。
ミュー粒子などの電荷を持った粒子がガスの中を通過すると、ガスの中に含まれる分子の電子をはじき飛ばしてイオン化します。ガスの中に電極を入れて高電圧をかけておくと、イオン化した場所で放電し、火花(スパーク)となって目に見えます。電極を何枚も重ねておくことで、粒子の通り道をスパークで観測することができます。
このスパークチェンバーではヘリウムガスを使っています。放電によって光っている時間は、約100万分の1秒と短いのですが、目の錯覚のため長く光っているように見えます。
動作原理
電極に高電圧をかけたままの状態では、いったん放電が始まると止まらなくなってしまいます。そこで、宇宙線が装置を通過した時だけ瞬間的に高電圧をかけるために、宇宙線の通過をシンチレータという特殊な蛍光体と光電子増倍管で検出します。
地表では私たちの体の中を毎秒約200個の宇宙線が突き抜けています。この装置ではシンチレータを通過する上下方向の宇宙線を観測しているので、数が少なくなります。
上下のシンチレータが同時に光った(宇宙線が通過した)時に、同時判別回路が信号を出して、高電圧パルス発生回路が1マイクロ秒(100万分の1秒)という短い時間だけ高電圧を発生させます。
宇宙線が通過した後に残された電離化された電子が高電圧の電極に引き寄せられ、これが種となってヘリウムガスが放電します。