サーベイメータとは可搬型の放射線測定器です。測定の目的や、測定の対象とする放射線の種類によって使い分けをします。一般的に乾電池によって動作しますが、そのコンパクトな本体に、高電圧発生器や電流計、パルス計数装置、表示回路などを備える高密度な計測器となっています。以下に代表的なサーベイメータを示します。

電離箱式サーベイメータ

主としてγ線による空間の線量当量率を測定するために用いられます。測定値は[μSv/h]や[mSv/h]の単位で示されます。
検出器には電離箱が用いられています。放射線によって電離箱内の空気などの気体がイオン化され、発生する電流を測定することにより、線量当量率を測定します。精度の良い測定ができますが、低い線量当量率の測定は苦手です。

NaIシンチレーション式サーベイメータ

主としてγ線による空間の線量当量率を測定するために用いられます。測定値は[μSv/h]の単位で示されます。
検出器にはNaIシンチレータの結晶が用いられています。写真のサーベイメータでは直径25mm x 長さ25mmの結晶が使用されています。シンチレータは放射線によって光を発する物質です。光は非常に微弱なため、光電子増倍管によって光を電気信号に変換し、増幅機能によって電気信号を増幅し、シンチレータが光る頻度、光の強度を測定することにより、線量当量率を測定します。

GM計数管式サーベイメータ

主としてγ線による空間の線量当量率を測定するために用いられます。測定値は[μSv/h] や[mSv/h]の単位で示されます。
検出器にはGM計数管が用いられています。GM計数管には不活性ガスと有機ガスあるいはハロゲンガスの混合ガスが用いられています。放射線によってガスがイオン化され、発生した電子によって放電が発生し、その電気パルス数を測定することによって線量当量率を測定します。パルス数を計数するというシンプルな回路系である利点がありますが、放電が終息するまでは不感時間となってしまうため、高線量の場の測定には注意する必要があります。

中性子サーベイメータ

中性子による空間の線量当量率を測定するために用いられます。測定値は[μSv/h]の単位で示されます。
レムカウンタとも呼ばれ、検出器にはヘリウム3比例計数管やBF3比例計数管が用いられます。中性子は直接には物質を電離しないため、ヘリウム3やBF3が用いられています。中性子はヘリウム3やボロン(10B)と核反応を起こし、荷電粒子が生じます。これらの荷電粒子による電離信号を数えることにより線量当量率を測定します。ヘリウム3やボロン(10B)はエネルギーの低い熱中性子に大きな感度を持ちますが、比例計数管を減速材で覆うなどによって幅広いエネルギーの中性子による線量当量率を測定できる工夫がされています。

大口径GM計数管式サーベイメータ

主としてベータ線を放出する放射性物質による汚染の程度を測定するために用いられます。測定値は[min-1]などで示されます。
検出器の原理としては、空間線量を測定するGM計数管式サーベイメータと同じく、GM計数管が用いられますが、一方の検出器の窓が薄くできており、ベータ線を効率良く測定することが可能となっています。また、検出器の窓を大きくすることによって、効率良く、放射性物質による汚染の程度を測定することができます。

ZnSサーベイメータ

アルファ線を放出する放射性物質による汚染の程度を測定するために用いられます。測定値は[min-1]などの単位で示されます。
検出器にはZnSシンチレータと光電子増倍管が用いられます。シンチレータは非常に薄い遮光膜によって外部の光から遮光され、効率良くアルファ線を測定することができます。シンチレータが非常に薄いので、γ線に感度が低いのも特徴で、アルファ線のみを効率良く測定できます。

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