小惑星探査機「はやぶさ」搭載の帰還カプセルにより持ち帰られた微粒子のうち、岩石質と同定された約1,500個のほぼ全てが小惑星イトカワ由来であると示されました。今回KEKフォトンファクトリーで分析される微粒子は、それより大きな岩石質粒子であり、今後の分析によりイトカワ由来であるかが明らかにされます。また、これらの微粒子には太陽系起源の謎を解く重要な情報があると研究者たちは期待しています。
電子顕微鏡等によるこれまでの調査で得られた微粒子の情報は表面から数マイクロメートルまでの情報と主成分の構成です。より詳しく知るためには、微粒子全体の元素組成や、その微粒子に含まれる結晶の種類や存在度、さらに結晶構造を調べる必要があります。このような微小試料の元素組成や結晶構造を調べるには"放射光"という強力なX線が必要不可欠です。
東北大学大学院理学研究科の中村智樹(なかむら・ともき)准教授を代表とする実験グループは微粒子の構成元素、構成鉱物とその結晶構造の情報を得ることを目的として、KEKフォトンファクトリーの実験ステーションBL-3Aを用いてX線回折分析および蛍光X線分析を行う予定です。