KEKについて

高エネルギー加速器研究機構の前身の一つである高エネルギー物理学研究所は、我が国最初の大学共同利用機関として1971年に設立されました。KEKという略称は元々「Koh Enerugii butsurigaku Kenkyuusho」の頭文字を取ったものです。もう一つの前身である東京大学原子核研究所(1955年に設置された、大学共同利用研究のための日本で最初の加速器実験施設)と高エネルギー物理学研究所は1997年に統合し、「高エネルギー加速器研究機構」となりました。KEK(ケイ・イー・ケイ)という略称は、旧高エネルギー物理学研究所の略称を継承しています。

「高エネルギー加速器研究機構」という名前は、しばしばテレビや新聞でも報道されるので、目にされたことのある方も多いと思います。最近では陽子電子衝突型加速器(KEKB)を用いた、宇宙における物質と反物質の非対称性の起源に関する実験が大きな話題を集めました。この成果がきっかけとなって、南部陽一郎・小林誠・益川敏英3博士の2008年ノーベル物理学賞受賞につながったことは良く知られています。その後、KEKBをさらにグレードアップしたSuperKEKB加速器が稼働を開始し、新しい発見を目指して世界最高のルミノシティーを更新し続けています。また、小柴昌俊博士のノーベル物理学賞受賞で広く知られるようになった水チェレンコフ・ニュートリノ検出器 「カミオカンデ」は、その後グレードアップされて「スーパーカミオカンデ」となり、これを用いたニュートリノ振動現象の発見により、梶田隆章博士がノーベル物理学賞を受賞しました。その後さらにニュートリノの性質を詳細に調べるため、スーパーカミオカンデにKEKの陽子加速器からニュートリノビームを撃ち込んで行ったニュートリノ振動実験(K2K)も、世界的に高い評価を受けており、現在行われているT2K実験に引き継がれています。

KEKは高エネルギー素粒子原子核実験の為の加速器を備えた国内唯一の研究機関ですが、湯川秀樹・朝永振一郎両博士の伝統を引き継ぐ素粒子・原子核理論の研究者を多数擁する、強力な理論研究グループも有しています。実験・観測に密着した素粒子現象論、格子QCD、ハドロン原子核理論、宇宙理論の研究から、超弦理論や量子重力といった素粒子の究極理論を構築する研究に至るまで、幅広い分野において世界をリードする研究が行われています。例えば1996年には「行列を用いた超弦理論の新しい定式化」が、KEKを中心とした理論研究グループにより提唱されました。さらにその後の研究により、私たちの住んでいる時空はなぜ4次元なのか、という様な根源的な問題が明らかにされつつあります。

このようにKEKは、理論と実験の両分野で、米国のFermilabやヨーロッパのCERNなどと並ぶ世界有数の研究機関として、素粒子原子核研究のフロンティアを切り開いてきました。そして、こうした現場ならではの研究環境を若手研究者の育成にも積極的に活用すべく、1999年に総合研究大学院大学(総研大)素粒子原子核専攻が設置され、2023年には総研大の組織改編に伴い、素粒子原子核コースに名称が変更されました。

KEKについて詳しく知りたい方は、KEKのホームページをご覧ください。

KEKへのアクセス情報はこちらをどうぞ。

最終更新日:2023/03/31

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