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【ようこそ素核研へ】測定器開発センター江成祐二さん着任インタビュー

2024年4月、測定器開発センターに、江成 祐二(えなり ゆうじ)さんが准教授として着任しました。

素粒子物理学の世界に興味を持ったきっかけ、どのような研究をしてきたのか、また研究や作業などで行き詰った時の気分転換の方法などをお聞きしました。

■素粒子物理学の世界に興味を持ったきっかけは?

小学校の理科で、暗い部屋の中でスポットライトを付け、空気だけだと何も見えなかったのに、煙(確か先生がたばこで煙をつくった)があると、光の通り道が見えるという実験がありました。素粒子ではありませんが、見えないものが見えるようになる、ということに強く惹かれたのが始まりだったのかもしれません。素粒子実験を選んだのは大学4年の研究室選びの時です。知りたい物理を研究するために、適した加速器や測定器がなければ、その開発から行って実現させるというアプローチに強く共感したことが始まりでした。

■KEKに来る前はどこでどのような研究をしていましたか?

学生の時はBelle実験に携わっていました。現在Belle II測定器で稼働しているTOP counterの開発が始まりです。幅広のTOP counter試作機1号のテストビームで最初のリングイメージが見れた時はとても嬉しかったのをよく覚えています。Belleでの物理解析はτレプトンを用いたフレーバー保存則を破る崩壊の探索でした。ポスドクの時はFermilabのTevatoron加速器を用いたDZero実験でHiggs粒子を探し始めました。LHC加速器の稼働前に見つけられるかもしれない状況で、非常に緊張感のある日々を過ごしました。残念ながら見つけることはできず、Tevatron加速器の停止後、LHC-ATLAS実験に参加しました。ATLAS実験ではHiggs粒子の測定を進めてきました。深く携わってきたのはH→γγやH→bbです。ATLAS実験のハードの面では液体アルゴン・カロリメータのトリガー読み出しのアップグレードに携わりました。これはシステム設計段階から様々なテスト、バックエンド・エレキのファームウエア開発、導入後のコミッショニング、そして運用まで責任をもって進めてきました。

■KEKではどんな研究をしていきたいですか?

KEKでは測定器開発が中心になります。私はHiggs粒子の背後に潜む標準理論を超える物理をみたいので、重心系エネルギーが1TeVクラスの電子・陽電子衝突か、100TeVクラスの陽子・陽子衝突実験に向けた次世代の測定器を目指しています。生きているうちに実現できる実験ではないかもしれないので、ステップを踏んで実現させていきたいです。具体的には次世代半導体検出器で、放射線耐性があり、位置分解能1μm以下、時間分解能 1psレベル測定器を作りたいです。今までにやってきた高速通信とデジタル信号処理を組み合わせ、高精度・高頻度読出しをもつ測定システムを実現させたいです。

■研究や作業などで行き詰った時などの、気分転換の方法を教えてください

料理を作ることですね。料理はステップが幾つもあり、片付けや洗い物等を同時にこなさないとうまくいかないので、結構のめり込みます。そのおかげで頭がリセットされリフレッシュできる気がします。そして作ったものが美味しいと結構幸せになれますね。その他に、ジョギングやサイクリング、あとテニスも楽しんでいます。

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これからの、素核研での活躍に期待しています!

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