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高校生のための素粒子サイエンスキャンプ「Belle Plus 2024 」開催しました

8月6日〜9日の日程で、高校生のための素粒子サイエンスキャンプ「Belle Plus(ベルプリュス)2024」がKEKつくばキャンパスで開催されました。今年も100名を超える応募者から選ばれた23名の高校生が全国各地から参加しました。

Belle Plusとは、KEKつくばのKEKB加速器を用いたBelle実験で実際に行われてきた最先端の研究活動を、高校生の皆さんに体験してもらうことを目的とした素粒子サイエンスキャンプで、宿泊体験型スクールとして2006年度から毎年実施しています。Belle実験は、小林誠・益川敏英両博士の2008年のノーベル物理学賞受賞に貢献しました。現在はBelle実験のデータ解析も行いつつ、KEKB加速器とBelle実験をアップグレードしたBelle II実験が行われています。


 

Belle Plusでは現役のBelle/Belle II実験グループの研究者による講義や施設見学に加え、4つのコースに分かれた演習が行われました。それぞれのコースはBelle/Belle IIの実験データの中から粒子を探索する「B-Lab」班、宇宙線(ミュー粒子)の速度を測定する「宇宙線速度測定」班、自作したワイヤーチェンバーという粒子検出器を用いて宇宙線の降り注ぐ角度を測定する「ワイヤーチェンバー」班、Belle実験で観測可能な現象を理論的に研究する「理論」班です。演習の時間には参加者は皆熱心に手を動かし、活発に仲間や講師と議論を交わしていました。

その他にも、加速器科学や素粒子物理学について詳しく学ぶ講義や、この分野のキャリアパスについて高校生参加者が研究者や大学院生に質問できるプログラムを実施しました。また、初日の夜に行われたサイエンスカフェでは、サイエンスコミュニケーターの青木優美(KEK広報室所属)が「物理12点の高校生が物理学者になるまで」と題し、中・高時代の興味の変遷や、素粒子物理との出会い、大学院での研究内容を語りました。そして、サイエンスコミュニケーターとして多岐にわたる活動をする中で、やりたいこと・夢を仲間に話すことの大切さを学んだ、と高校生たちにメッセージを贈りました。

参加者からの感想を一部紹介します。

「数年前からこのキャンプのことは知っていたが、応募する勇気が出なかった。高3で最後の年なので思い切って参加してみて本当に良かった」(高3女子、青森)

「普段は決して出会えない人と出会い、将来の生活やキャリアパスを具体的に想像し、何より興味があったものの難しそうで敬遠していた素粒子についてかなり理解が進みました。手厚いサポート体制もあり、友人もできて本当に良い体験ができました。これからこの経験をいかし、色々なことにチャレンジし将来に繋げていきたいと思います」(高2女子、沖縄)

「I am appreciative of partaking in the Belle plus camp that not only allowed me to gain insightful knowledge on particle physics, but also allowed me to improve my Japanese and make likeminded friends that also hope to pursue careers in similar fields to my own.
(訳)Belle Plusに参加したことで、素粒子物理学の見識を深めることができただけでなく、日本語も上達し、自分と同じような分野でのキャリアを目指す気の合う友人もできた」(高2女子、イギリス)

 

Belle Plus実行委員長の中山 浩幸(なかやま ひろゆき)素核研准教授は、「今年の高校生たちも、高度なテーマの実習に積極的に取り組んでくれました。キャンプを通じてできた友人たちとのつながりを大切にして、今後も素粒子物理学に興味を持ち続けてもらえたらうれしいです」と4日間を振り返りました。


※今年度のBelle Plusは、高エネルギー加速器研究機構と奈良女子大学理学部の共催で実施されました。

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