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大畑宏樹氏が第19回中村誠太郎賞を受賞しました

素粒子原子核研究所理論センター、日本学術振興会特別研究員の大畑 宏樹(おおはた ひろき)氏が、素粒子奨学会より第19回中村誠太郎賞を受賞しました。中村誠太郎賞は、素粒子論、原子核理論、宇宙物理理論の分野で優れた研究成果を挙げた若手研究者を表彰する賞として、2006年に素粒子奨学会が創設したものです。

受賞論文

“Phase diagram near the quantum critical point in Schwinger model at θ = π: analogy with quantum Ising chain”

(PTEP 2024, 013B02 (2024))

 

大畑氏は、京都大学基礎物理学研究所で博士課程を修了し、今年4月から素核研理論センターに着任しました。今回受賞の対象となった研究は、θ=πという特殊なパラメーターでのシュウィンガー模型の相構造の解明に関するものです。シュウィンガー模型とは、空間が1次元な仮想世界での光と電子の量子的な相互作用を記述する模型で、相互作用を表す数式において「シータ項 (θ) 」と呼ばれるパラメーターが含まれています。特に、θ=πという特殊なパラメーター上では興味深い相構造を持つことが予想されていましたが、符号問題と呼ばれる問題のため、スーパーコンピューターを用いてもなお第一義的な原理に基づく解析が困難でした。今回大畑氏は、フェルミオンを等価なボソンに変換する「ボソン化法」を使う、という新しい手法でこの問題を克服し、絶対零度のみならず一般の温度での相構造を数値的に詳細に解明した点が評価されました。

詳しい講評はこちら
https://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~soryushi.shogakukai/hokoku/24.html

 

 

受賞のコメント

この研究は博士課程の中期あたりから一人で取り組み始め、最終的に私の博士論文の主結果となった、とても思い入れのある研究です。その成果が中村誠太郎賞という名誉ある賞で評価されたことを、大変光栄に思います。

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