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おとなのサイエンスカフェ第9夜「宇宙創成『インフレーション』の謎にせまる」を開催しました

10月4日(金)、おとなのサイエンスカフェ第9夜「宇宙創成『インフレーション』の謎にせまる」をつくばセンタービル co-enで開催しました。

KEK素粒子原子核研究所(素核研)では、素粒子、原子核という極微な世界から広大な宇宙まで、理論および実験の両面からの研究を行っており、この世で最も小さい素粒子を研究することでこの世で最も大きい宇宙の謎の解明に挑み続けています。


 

9回目となる今回のサイエンスカフェでは、浦川 優子(うらかわ ゆうこ)素核研 理論センター准教授が話し手となり、私たちの宇宙がどのような歴史をたどり、現在の姿となったのか解説しました。宇宙はビッグバンが始まる前にインフレーションという急速な加速膨張期があり、ほぼ等方的な宇宙を生み出したと考えられていますが、具体的に何が起きたのかはよく分かっていません。浦川准教授は、アインシュタインの一般相対性理論の予言を主軸に重力研究の歴史をひも解き、インフレーションの存在がどのように科学的に認められたかを説明しました。インフレーション中に発生したと考えられる原始重力波が見つかれば、それはインフレーションの決定的な証拠となり、創成直後の宇宙を理解するための重要な情報を与えます。最後に、浦川准教授は、宇宙の空間をモザイクアートのように理解することで複雑な原始重力波の計算に挑んだ自身の研究成果について紹介して、サイエンスカフェを締めくくりました。

参考プレスリリース:
宇宙創成「インフレーション」の謎に迫る~簡単かつ直観的な方法で原始重力波の計算が可能に~

 

▼当日の様子は素核研YouTubeのアーカイブ動画からご覧いただけます▼

[第9夜「宇宙創成『インフレーション』の謎にせまる」]

会場からはたくさんの質問が投げかけられ、参加者の関心の高さがうかがえました。

感想の一部をご紹介します。

  • 宇宙自体が超速で拡がっていること、真空のエネルギーが負の圧力であるということが印象的でした
  • 原始重力波とインフレーションの関係が理解できました

次回のおとなのサイエンスカフェ

おとなのサイエンスカフェは金曜日の夜、大人の特権である美味しいお酒やおつまみを楽しみながら、極微なサイエンスの話を楽しんでもらうことを趣旨に企画したもので、シリーズで開催しています。

次回は、12月6日(金)に行います。

おとなのサイエンスカフェ第10夜「宇宙一小さなコマで時間反転対称性の破れにせまる」

素粒子は宇宙最小の磁石であり、その性質からコマのような首振り運動(歳差運動)をします。この宇宙最小のコマを使って、時の流れの反転対称性の破れを捉える実験の準備が進んでいます。実験の原理はいたってシンプル。しかし実現するには数々の挑戦的な技術開発が必要です。飯沼裕美(いいぬま ひろみ)茨城大学准教授が、10年にわたりKEKつくばキャンパスで行った原理実証実験と、2028年を目標にしたJ-PARC (茨城県東海村)での本番実験へ向けた意気込みを紹介します。

▼詳細、参加お申し込みはこちらから▼

リンク:https://otona-sciencecafe-10.peatix.com/

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