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素粒子、物性、量子情報の研究者が集結:KEK THEORY Workshop 2024開催報告

KEK Theory Workshop 2024が12月11日から12月13日の3日間、KEKつくばキャンパスにて行われました。この研究会では、毎年さまざまな話題を取り上げてきましたが、今年は最近発展が著しいテンソル・ネットワーク(※)と量子計算をメインテーマとして取り上げました。

 

初日では、テンソル・ネットワークを素粒子理論に応用する方法と、物性理論に応用する方法が議論されました。2日目には、量子計算において重要となる「誤り訂正」の基本的な考え方についての議論がなされ、重力理論との深い関連性について議論されました。最終日には、テンソル・ネットワークの発展の歴史を概観するとともに、物性理論におけるトポロジカル相やくりこみ群との関連性に話が発展していきました。

今回の研究会で特に素晴らしかったのは、素粒子理論、物性理論、量子情報理論といった異なる分野の研究者たちが一堂に会し、分け隔てなく突っ込んだ議論ができたことと言えます。いま話題となっているこれらのテーマについて、理解を深められたことに対して、参加者からも感謝の言葉が多く聞かれました。


 

【用語解説】

※テンソル・ネットワーク
結晶中の電子のような多粒子の量子力学では、空間的に離れた場所にいる電子が量子もつれになる状態が重要な役割を果たします。テンソル・ネットワークはこの状態を効率的に扱う手法で、多数の電子のすべての組み合わせを取り入れるのは困難ですが、長距離を結ぶ幹線と短距離の支線を組み合わせて重要な部分だけを扱うことが可能です。数学的には行列の拡張版である「テンソル」を結びつけたもので、膨大な数値を整理して表現する構造です。

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