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素粒子現象論研究会 KEK-PH2025winterを開催―多様な視点で素粒子と宇宙のパズルに挑む
2025年2月27日
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KEKつくばキャンパス3号館前にて
2024年度のKEK素粒子現象論研究会(KEK Theory Meeting on Particle Phenomenology, KEK-PH)が、2月18日から21日にKEKつくばキャンパスで開催されました。毎年開催しており、20年以上の歴史がある研究会で、海外からも多くの参加者が集まります。今回も若手研究者を中心に100名以上の参加があり、多くの発表が行われました。
今回は、話題が満載な研究会になりました。欧州合同原子核研究機関(CERN)で計画されている巨大実験FCC(Future Circular Collider)で探ることのできる物理の報告から始まり、LHC実験、Belle II実験、暗黒物質探索、宇宙背景輻射観測など、着実な実験成果と将来展望の話を聞くことができました。また、粒子の散乱のつくる量子もつれを最小化するという、新たな基本原理の可能性を示唆する驚きの発表もありました。
素粒子と宇宙の世界は謎だらけです。素粒子を徹底的に調べたり、宇宙を詳細に観察したりすることに加え、理論的に素粒子がどのように宇宙を作っているのか、また、宇宙の歴史でどのように素粒子が生成されたのかを考察し、それらの整合性を探ることは、謎を解決するための強力な方法論を与えます。例えば、宇宙の暗黒物質をある未知の素粒子だとする仮説を立てます。その素粒子の性質と宇宙観測のデータを比較して、宇宙初期にどのように生成されたか、また、どれくらいの質量や相互作用の強さを持っているのか推察します。その結果を踏まえて、地上での観測手段の作戦を立てて検証していくといった、素粒子と宇宙の壮大なパズルに人類は挑んでいます。
今回の研究会には、真の理論を目指すため、さまざまな理論的な考察や実験の提案に取り組む熱心な研究者が集まりました。また、非常に多くの若手研究者から発表の希望があり、素粒子現象論の盛り上がりを感じさせる会となりました。