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第2回 AI+HEP in East Asiaを開催―高エネルギー物理学におけるAI活用について議論
2026年2月24日
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The 2nd AI+HEP の集合写真
1月19日から23日にかけて「第2回 AI+HEP in East Asia」が開催されました。この研究会は、東アジアを中心とする研究者がKEKつくばキャンパスに集い、高エネルギー物理学(HEP)における人工知能(AI)の最新動向と将来展望を議論する国際的な取り組みです。第2回はハイブリッド形式で開催され、60機関以上、10を超える国・地域から87名が参加しました。
高エネルギー物理学の分野では、AI を研究に活用する取り組みが近年急速に進展しており、関連する国際会議も数多く開催されています。一方で、アジア地域内における連携は、これまで必ずしも活発とは言えない状況でした。AI+HEP in East Asia は、こうした状況を改善することを目的とした取り組みの一つとして企画されています。
AI は高エネルギー物理学をどう変えるか
AI に関する HEP 分野の論文数は、INSPIREなどのデータベースでは2018年には約50件でしたが、2025年には400件を超え、現在では研究に不可欠な要素となっています。実験分野において測定器上に残された粒子の痕跡から元の粒子を同定する技術、異常事象の検出、さらには素粒子相互作用の原理計算や時空構造に関する計算、重力波の解析など、マクロからミクロに至る幅広いスケールで AI が活用されています。また、大規模言語モデルの発展を背景に、理論計算・数値計算・データ解析といった研究プロセス全体を、複数の AI が連携して実行する枠組みが注目されています。AI の推論能力が向上する中で、将来的には新たな理論の創出に AI が直接関与する可能性も期待されています。この研究会は、こうした分野のダイナミックな研究動向を俯瞰できる貴重な機会となりました。
「AI+HEP in East Asia」は、今後も東アジアにおける AI と高エネルギー物理学の連携強化を目的として継続的に開催される予定です。
ACAT2027の旗の引き渡し
本研究会では、2027年3月に東京で開催予定の ACAT2027(第24回 物理学研究における高度計算・解析技術国際会議)に向けた「旗の引き渡し式」が行われました。ACAT2027 は、東京都市大学、東京大学、KEK のメンバーによる実行委員会によって運営されます。ACAT シリーズは、当初 AIHENP(Artificial Intelligence for High Energy and Nuclear Physics:高エネルギー・原子核物理学のための人工知能)という名称で開催されており、1992年の第2回会合では、World Wide Web(WWW)を開発した Berners-Lee 博士らによる “World-Wide Web: an information infrastructure for high energy physics”(高エネルギー物理学の基盤としての World Wide Web)と題した発表も行われました。
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研究会中に行われたACATの「旗の引き渡し式」。左はACAT2025のLOC代表であるGregor Kasieczka 教授
[ACATのロゴについて]
会議のロゴとして旗に描かれている意匠は、会議初回から継承されているもので、実在するアステカ文明の羽の盾を図案化したものです(注)。このロゴは “how to get out of this maze without re-inventing the wheel”(車輪を再発明することなく、この迷路から抜け出す方法)という理念を象徴しており、異なる専門性を有する研究者の知見を結集し、素粒子物理学分野において不可欠な計算科学を用いた高度な研究を加速するという、本会議の目的を表しています。
注 アステカの盾(チーマリ)は、木製の基盤に鳥の羽を貼り付けて作られたもので、戦闘用のみならず儀礼的な意味合いでも用いられていました。研究会のロゴの元となった盾は、ドイツ・ヴュルテンベルク州立博物館に所蔵されている16世紀制作の実物で、段状の文様と円形のモチーフ(太陽)が表現されています。
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