高エネルギー加速器研究機構(KEK)つくばキャンパスの地下では現在、日本最大の粒子加速器SuperKEKBが新たに生まれ変わり、2018年春に予定される電子・陽電子の衝突実験の準備を着々と進めています。その衝突点には、高さ、幅、奥行きともに約8メートルで重さが約1400トンもあるBelleⅡ測定器がすでにロールインされ、最終機能試験を実施しながら実験の開始を待っています。
これらの装置は、小林誠・益川敏英博士の2008年ノーベル物理学賞受賞を導く成果を出すなど、輝かしい成果を挙げたKEKB加速器とBelle測定器を大幅に改良したもので、自ら保持するルミノシティ(衝突頻度)の世界記録をさらに40倍も更新し、宇宙創成期に働いていた未知の物理法則を探索することを目指しています。
この歴史的な計画のスタートを、一人でも多くの皆様に知っていただく目的で、加速器のビームパイプや測定器の模型、現場の映像や紹介ビデオを、計画の概要を紹介するパネルとともに、文部科学省エントランスに展示中です。その関連イベントとして、一般の方々に研究者の生の声を届ける講演会を企画しました。この機会にぜひ、ご参加いただきたいと思います。
日 時
平成30年1月30日(火曜日)14時30分〜16時30分(入場無料)
場 所
【文部科学省旧庁舎ラウンジ(1階)】(http://www.mext.go.jp/joho-hiroba/access/index.htm)
プログラム
14時 開場(受付開始)
14時30分 山内正則機構長の挨拶
14時50分 加速器研究施設・赤井和憲教授の講演
「未踏のルミノシティを切り開くSuperKEKB加速器」
15時30分 素粒子原子核研究所・谷口七重助教の講演
「BelleⅡ実験で期待される発見」
16時10分 質疑応答(16時30分ごろまで)
登壇者プロフィール
〈山内正則氏プロフィール〉
1984年東京大学大学院博士課程修了。高エネルギー物理学研究所助教授を経て、1999年高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所教授、2012年同研究所所長、2015年同機構長。「B中間子におけるCP対称性非保存の発見」で第一回折戸周治賞受賞(2010年)。
〈赤井和憲氏プロフィール〉
1985年東京大学大学院博士課程修了。高エネルギー物理学研究所助手、米国コーネル大学研究員を経て、1998年高エネルギー加速器研究機構助教授。2005年同教授、2009年より加速器第三研究系研究主幹。「超伝導クラブ空洞の開発とKEKBファクトリーへの応用」で、第二回折戸周治賞受賞(2011)。
〈谷口七重氏プロフィール〉
2008年京都大学大学院博士後期課程修了。2009年高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所博士研究員を経て、2012年より同助教。専門は素粒子物理学実験、とくに高エネルギー加速器を用いた実験。
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関連リンク
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ニュース・特集など
- IPNSニュース 【【BelleⅡ実験】BEAST装置を測定器本体の中心部に挿入 試験運転に向けた準備が本格化
- IPNSニュース 【BelleⅡ実験】BEAST装置の機能試験が始まる 11月中下旬にBelleⅡ本体へ
- IPNS特集高ルミノシティ加速器/測定器で新しい物理法則を探す〜Belle、BelleⅡグループの取り組み