メカニカルエンジニアリンググループが2020年10月の活動報告を行いました。
メカニカルエンジニアリンググループは、素核研で行われている様々な実験に必要となる装置の設計・加工・組立を行なっています。そこでは構造・材料・真空、低音、熱、回路、測定技術といった幅広い知識が必要になると同時に、相反する性能を実現する為の非常に難しい技術が求められます。世界最先端の研究を行う装置は世界に一つしか製作されないものが多く、既存の技術を超えた新たな技術を生み出すべく日々「もの造り」の試行錯誤を重ねています。
今回の活動報告では主に、J-PARCで予定しているCOMET実験で用いる超電導ソレノイド電磁石用の遮蔽体と、支持架台の設計について報告されています。遮蔽体は、タングステン合金製で直径1.2m、長さ1.8m、重量が約30tonあります。J-PARC加速器から発せられる8GeVという大強度陽子ビームは、途中で分岐され標的に当たり、強い放射線を発生します。この放射線により、超電導ソレノイド電磁石が発熱するのを防ぐ事が目的です。遮蔽体内部には冷却配管を埋設した形状を目指しています。
支持架台については、遮蔽体を片持ち支持する構造(ゆがみなく片側だけで支える)になっています。遮蔽体は小さいものの非常に重たく、支持が困難な為、初期計画では複雑で大がかりになっていました。そこで、カウンタウェイトと呼ばれる、遮蔽体と同程度の重さのおもりを設置したり、車輪やレールを分割できる構造にすることで、バランスを保ちつつも、非常にコンパクトな形状を満たすことが可能となりました。また放射化物の削減にも繋げる事が出来ました。
遮蔽体、架台ともに2022年の製作目標に向けて設計を進めています。
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メカニカルエンジニアリンググループ
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