ニュートリノグループが2021年3月の活動報告を行いました。 ニュートリノグループでは、茨城県東海村にあるJ-PARC(大強度陽子加速器施設)でT2K実験をはじめとするニュートリノの実験研究を行なっています。T2K実験では、J-PARCで生成した大強度のニュートリノをJ-PARCから295km離れた岐阜県神岡町にある巨大検出器、スーパーカミオカンデ(SK)に打ち込み、ニュートリノと反ニュートリノそれぞれで「ニュートリノ振動」と呼ばれるニュートリノが空間を伝わるうちに別の種類のニュートリノに周期的に変化する現象を測定します。そこから、ニュートリノのCP対称性の破れ(物質・反物質の性質の違い)の探索などを行っています。
約1年に及ぶ保守期間を経て、3月8日にニュートリノ実験施設はビーム運転を開始しました。ビーム調整を繰り返しながら、ビームパワーを前回ランと同様の515kWまで引き上げる予定です。同時に大強度化計画も進んでいます。ハドロングループと協力して製作した⼀次ビームライン最下流の振り下げ電磁⽯が完成し、設計性能が確認されました。また、新型電磁ホーンと、ビームの位置・形状を測定するための新型ビームプロファイルモニタの開発も順調に進んでいます。
T2K実験に関しては、夏の国際会議Neutrino2020 において最新の解析結果の報告を行いました。また、2020年4月にNature誌に掲載されたニュートリノのCP⾮保存についての最新結果が、Nature誌の「10 remarkable discoveries from 2020」に選出されました。同時に、前置オフアクシス検出器ND280の増強計画も進んでいます。
SK検出器はガドリニウム(Gd)の注入とその後の水純化作業が完了し、順調に稼働しています。SK計画の後続のハイパーカミオカンデ(HyperK)計画も、各種調査・調整が進行中です。
この他に、素粒子の標準理論にはない新しいニュートリノ(ステライルニュートリノ)を探索するJSNS2実験がJ-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)で開始しました。2020年6⽉に最初のデータ収集を実施し、今期のランも1月から順調にデータ収集しています。
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ニュートリノグループ
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