一次陽子ビームグループが2022年2月の活動報告を行いました。一次陽子ビームグループはJ-PARC(大強度陽子加速器施設)にあるハドロン実験施設の建設・運営・機能強化の中心を担っているグループです。J-PARCではリニアック、3GeVシンクロトロンの2つの加速器を経て加速した陽子をさらに主リングで30GeVまで加速します。加速された陽子は遅い取り出しビーム(注)としてハドロン実験施設に取り出され、二次粒子生成標的に照射されます。そこで生じたパイ中間子やK中間子が複数のビームラインに導かれて、様々な実験が行われています。2020年からは一次陽子ビームを直接利用するビームラインも動き始めました。
2021年度の遅い取り出しビームの運転は4月初旬および5月から6月に行いました。ビーム強度を徐々に増やしながらきわめて安定な運転を行なった結果、この期間の完了を目標としていた「Hダイバリオン」を探す実験や他の原子核・ハドロン・素粒子に関する実験を予定通り実施し、2021年夏以降のK1.8実験エリアの改造に向けた準備を完了することができました。
2021年7月からは、メインリングシンクロトロン(MR)の長期シャットダウン期間に入りました。定期的なメンテナンスに加え、COMET実験用のビームラインであるCラインの整備や、K1.8実験エリアにおける新たな大型スペクトロメータS-2Sの設置作業を進めています。
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一次陽子ビームグループ
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(注)遅い取り出しビーム: J-PARC主リングで作られるビームには、遅い取り出しビームと速い取り出しビームの2種類があります。速い取り出しビームは、加速された陽子が主リングを一周する間(約5マイクロ秒)にそれらを一度で全て取り出してしまうビームです。一方遅い取り出しビームは、加速された陽子を、主リングを何周も周る間に約2秒の時間をかけて少しずつ取り出すビームです。