活動報告

2022年3月の活動報告 : エレクトロニクスシステムグループ

エレクトロニクスシステム(E-sys)グループが2022年3月の活動報告を行いました。E-sysグループは、世界最先端の研究で活用される世界に1点だけの実験装置のセンサーからシステムに至るまでの開発等を行なっています。研究開発は、素粒子原子核研究所のみならず加速器研究施設や物質構造科学研究所、放射線科学センター、超伝導低温工学センターといった機構内の様々な施設や他大学と一緒に行っています。

 

E-sysグループの研究開発拠点は、つくばキャンパスと東海キャンパスの2カ所です。今回E-sysつくばでは、Belle II実験のCDCアップグレード用読み出しシステムの要素開発について報告しています。このシステムに使用する集積回路は電荷増幅器とA/D変換器が一体化されており、電気信号の波形がリアルタイムで10nsec(ナノ秒;10-9秒)ごとにアナログからデジタルに変換されて出力されます。この技術を用いれば、捉えた信号を検出器上でデジタル化して、その信号をネットワークによってコンピュータに転送できるようになります。その他の回路性能(ダイナミックレンジ、クロストーク抑制効果等)についても現行の読出し回路と比べて2~10倍程度向上しています。さらに消費電力は約1/3に削減されており、環境負荷低減への寄与も期待されます。

E-sys東海ではMIKUMARI(水分:みくまり)と名称された、新しいデジタル信号変調技術(CDCM)を使用したフロントエンド回路同期用の技術を紹介しています。MIKUMARIには2つ大きな特徴があります。1つ目は、特殊な送受信回路なしで使用できる点です。汎用的な部品で実装できるため、長期にわたる実験においても部品の入手に苦労せず、開発維持が容易になります。E-sys東海ではCDCM変調技術を汎用部品のみで実装することに世界で初めて成功しました。2つ目は、光ファイバー1本でクロックと同期データを長距離転送できるようになる点です。従来はクロックとデータで別の線を用意するか、前述の特殊な送受信回路に頼ってファイバー1本に収める必要がありました。ファイバー1本に置き換えられるようになれば、ケーブル分省スペース化でき、装置の巨大化やセンサーのチャンネル数の増加にも対応できるようになります。

E-sysグループではデバイスやシステムの開発に加え、若手を育成し先端技術の専門家を増やすことを目的とした”Open-It”というネットワークを運営しています。今回は、今までOpen-Itが取り組んできた教育活動の振り返りと、九州大学と連携したハイブリッド研究会について報告しています。

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