活動報告

9月の活動報告 : 短寿命核実験グループ

理化学研究所の仁科加速器研究センター(埼玉県和光市)に本拠を置く、KEK素核研の和光原子核科学センター(WNSC)による、2017年9月の定例報告です。このグループは、センターの放射性同位体ビームファクトリー(RIBF)で生成・加速されたゼノンビームを、KEKが開発した元素選択型質量分離器(KISS)内で標的のプラチナに衝突させ、魔法数の一つである中性子数126の周辺の短寿命な不安定核だけを取り出すことに取り組んでいます。その性質を詳しく解明し、鉄よりも重い元素がどのような天体の環境で生成されたか、という謎に迫ろうとしています。

定例報告では、KISSの共同利用や、不安定核の質量を精密に測定する多重反射方式飛行時間測定型質量測定器(MRTOF-MS)の開発状況や成果など、2017年上半期における活動が詳細に報告されています。

とくに、MRTOF-MSの開発では、RIBF内で作り出された7種の超ウラン元素を含む約80種類の重元素同位体の質量を新たに測定することに成功しました。超ウラン元素の246Es(アインスタイニウム)、249,250-252Md(メンデレビウム)の質量が直接測定されたのは初めてで、原子核内部の状態を知るための重要な手がかりとなるため、近く研究論文にまとめられる予定です。

また、韓国のIBS(基礎科学研究院)とのRISSPプロジェクトで開発された ガンマー線検出器(Super Clover Ge)がKISSの測定エリアにインストールされ、本格的に稼働をはじめました。小型のMRTOF-MSにより、質量分析を同時に行うためのビームラインもKISSに新設され、本格的な実験に向けた準備が整いつつあります。

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