2011年7月5日
KEK内の小林ホールで行われました。
6月18日(土)KEK公開講座2011が開催されました。KEK公開講座は、高エネルギー加速器研究機構の研究で蓄積された知見や加速器科学について一般の方に広く紹介し、興味や関心を持って頂くことを目的に毎年実施しているもの。今年度は年2回の実施予定があり、6月18日開催の公開講座は第1回目でした。
今回は「スーパーBファクトリーで探る宇宙・素粒子の世界」と題して、2014年度の本格稼働を目指し現在準備が進められているSuperKEKB(※1)に関連した2つの講義が行われました。
1つ目は、「未踏のルミノシティを目指す-SuperKEKB加速器」との題で、赤井和憲KEK教授が講義を行いました。赤井氏は、まず導入としてSuperKEKB加速器の前身であるKEKB加速器の説明をしながら、加速器のビームの衝突性能を表す指標である「ルミノシティ(※2)」について説明をしました。SuperKEKB加速器では、これまでの40倍のルミノシティ達成を目標にしています。そのために行う改造や増強について、ナノ・ビーム方式(※3)やビーム電流(※4)の倍増を例に挙げ、詳細に説明しました。
2つ目は「宇宙の反物質消滅の謎-小林・益川理論を越えて」との題で、堺井義秀KEK教授が講義を行いました。堺井氏は宇宙と素粒子の関わりや、宇宙が誕生した頃には物質と同じ量存在していたとされる「反物質」について解説しました。また、2001年にKEKのBファクトリー実験で実証された「CP対称性の破れ(※5)」について解説しました。しかし、Bファクトリー実験で調べられたCP対称性の破れは、現在の宇宙に至る反物質の消滅を説明するには不十分であり、SuperKEKBによって新しい物理法則の探索が不可欠であると述べました。
公開講座には多くの方にご来場いただきました。
公開講座終了後も、熱心に講師へ質問される方の姿がありました。
質疑応答の時間には、「直線の加速器ならもっとエネルギーが出そうだが、なぜ円形の加速器なのか?」「反粒子はこの世界にほとんどないというのはどういうことか?」といった質問をはじめ、多くの質問が出ました。さらには、途中の休み時間や講義終了後に講師に質問をされる方が列をなしていました。
今回はおよそ200名が参加され、賑わいのある公開講座となりました。