「宇宙の謎に挑む 日本の貢献」 鈴木機構長が講演
#トピックス2010年10月30日(土)京都リサーチパークにて、先端加速器科学技術推進協議会主催の第2回先端加速器科学技術推進シンポジウムin京都『宇宙の謎に挑む日本の貢献「はやぶさ」から「国際リニアコライダー」へ』が開催され、鈴木厚人KEK機構長が講師として参加しました。
会場は約200名の参加者でほぼ満席。開会に先立ち、時任宣博京都大学化学研究所長が挨拶され「今日は夢が広がる話を聞いて良い気分になれれば」と述べました。
東京大学素粒子物理国際研究センター山下 了准教授による基調講演「宇宙の謎を解き明かす 最先端科学」に引続き、鈴木機構長が『ビッグバンを再現する究極の加速器 国際リニアコライダー計画』と題する講演を行いました。講演の中で鈴木機構長は、宇宙の誕生の謎やその解明に向けた加速器をつかった研究について解説。これらの国際協力で行われている研究活動の中で日本が果たすべき役割や、KEKの将来計画について紹介しました。これらの研究開発活動は、グローバル化、大規模化の流れの中、大きな予算を要する巨大プロジェクトとなっています。講演の中で鈴木機構長は「研究の推進には国民の理解を得ることが必須」とし、KEKが講師として職員を全国に派遣するプロジェクト「KEKキャラバン」についても紹介しました。
最後の講演は、宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 教授 川口淳一郎氏による『世界初 小惑星探査機「はやぶさ」60億km宇宙往還の旅』でした。川口氏は90分に及ぶ講演で「はやぶさ」が宇宙へ旅立ち、幾多のトラブルを乗り越え、満身創痍になってカプセルを地球に送り届けるまでを紹介しました。「はやぶさ」の後継プロジェクト「はやぶさ2」は、事業仕分けにより一度は予算がほぼゼロまで削減されましたが、今回のミッション成功で予算が復活。このことにつき川口氏は「もしも失敗していたら、どのように捉えられていたか考えると恐ろしい」と述べ、科学技術への挑戦が成果のみで判断される傾向に対する懸念を表明しました。また、はやぶさの今回の偉業についてNASAが決して「世界初」という表現をしなかったというエピソードを紹介。科学者が「世界一」を目指すことの大切さを強調しました。
最後に、高柳雄一 多摩六都科学館館長をモデレータとして、3名の講演者と京都大学 教授 野田 章氏によるパネルディスカッションを実施。会場からは、回答しきれないほど数多くの講演者に対する質問が集まりました。野田氏は「今日の講演で感じたことは、本物の迫力に触れることの大切さ」と述べ、シンポジウムを締めくくりました。
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