先端加速器シンポジウム 名古屋で開催 益川氏、鈴木機構長が参加
#トピックス2010年11月27日(土)愛知県名古屋市の栄ガスビルガスホールにて、先端加速器科学技術推進協議会(AAA)主催の第3回先端加速器科学技術推進シンポジウムin名古屋「先端加速器で解き明かす宇宙の謎『Bファクトリー』から『リニアコライダー』へ」が開催され、鈴木厚人KEK機構長が講師として参加しました。
開会に先立ち、松岡雅則AAA事務局長から協議会の紹介があり、引続き、名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構(KoBayashi-Maskawa Institute:KMI)の棚橋誠治基礎理論研究センター長が開会挨拶をされ、今年発足したばかりのKMIの活動について概説しました。KMIは、理学研究科、多元数理科学研究科、太陽地球環境研究所に所属する素粒子理論・実験分野、宇宙理論・観測分野、数理物理学分野、宇宙線研究分野の関連研究者を結集し、さらには素粒子理論に計算物理学の手法も取り入れ、現在の標準理論をも越える現代物理学の新たな地平を開拓することを目的とした研究所です。
講演の部では、KMIの飯嶋 徹現象解析研究センター長が「BファクトリーからスーパーBファクトリーへ」と題する講演を行いました。引続き、鈴木機構長が「ビッグバンを再現する究極の加速器国際リニアコライダー計画」と題する講演を行いました。講演の中で鈴木機構長は、宇宙の誕生の謎やその解明に向けた加速器をつかった研究と、KEKの将来計画について、ユーモアを交えて解説。会場は何度も笑いに包まれました。
最後の講演は、KMIの機構長で2008年ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英氏による「現代科学と社会」でした。益川氏は、これまでは基礎科学が社会に還元されるまで、100年程度の長い期間を要していたとしたうえで「現在は、その期間がバイパスされている」と指摘。加速器等の実験結果からの社会還元ではなく、実験装置の開発過程で生まれる様々な技術が、早い段階で社会に浸透していると語りました。
最後に、高柳雄一多摩六都科学館館長をモデレータとして、3名の講演者と開会挨拶を行った棚橋誠治氏によるパネルディスカッションを実施しました。会場からは、数多くの講演者に対する質問が集まりました。「現代科学は大規模化しているが、クリエイティブな仕事は個人の資質に関わってくるのでは?」との質問に益川氏は「巨大科学というものは、非常に多くの研究成果の寄り集まり。ひとつひとつの成果よりも、それらが有機的に組み合わさって初めて意味があるもの」と述べ、大規模科学への期待を語りました。
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