KEKキャラバン、8月は茨城、島根、福岡に講師派遣
#トピックス
講演をする素粒子原子核研究所の片山一郎名誉教授。
KEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。8月は茨城、島根、福岡に講師を派遣しました。
8月9日(火)、茨城県中結城郡八千代町図書館で、八千代町学校健康教育部会の先生方23名を対象に放射線についての講演を行いました。
今回の講演では、原子核の分布、放射線発生の仕組み、放射線の種類と性質、放射線検出器の原理、放射線の単位、人体への影響についての解説が行われました。また、つくば周辺の放射能汚染状況等についての質疑応答が行われ、八千代町についてはほとんど汚染がないこと、そのため、内部被曝の心配は少ないことが説明されました。今後の状況については、各学校所有のサーベイメーターの測定に加え、KEKのホームページに掲載される大気の汚染状況を参考にすることが提案され、低線量の被曝を過度に心配すると、それから生じるストレスは抗酸化機能や免疫調整機能にブレーキをかけることにも通じるとして、講演は締めくくられました。
講演後のアンケートでは、「今まで放射線について聞いたことがなく不安がありましたが、きちんと情報を把握し、対応すれば、そんなに心配はないことが分かりました」といった感想が寄せられました。
講演中の大須賀鬨雄特別准教授(社会連携部)
8月10日(水)には、島根県の出雲商工会館で、「『最先端の正しい答え』がわかる熱血講義」が開催され、およそ40名が集まりました。
講演会は二部構成で、午前には「放射線と原子力発電に関して」の基調講演が行われた後、参加者が8つのワーキンググループに分かれ、議論を進めました。その後、放射線を肉眼で観察できる「霧箱」のデモンストレーションが行われました。午後は、各ワーキンググループのテーブルを講演者が順に回る形で参加し、議論を進めました。一回りしたところでまとめの講演が行われ、一旦閉会はしましたが、質問者が後を絶ちませんでした。
「霧箱が面白かったです。素粒子の存在を実感できました。はっきりと見えないものなので、今までよくわかりませんでしたが、ぼんやりと理解できるようになりました」「放射線には、アルファ、ベータ、ガンマ、エックス線、中性子線があるようですが、目視では、ベータよりアルファ線の方がよく見えるのは、それぞれの特質の違いだと理解しました」「普段の生活や食物の中にも当たり前にあるものなのですね。良薬も量を間違えると毒薬になるという理屈に似ているようですね。目からうろこの思いです」といった感想が寄せられました。
8月30日(火)、福岡市のアクロス福岡・国際会議場にて、先端基礎科学次世代加速器研究会と先端加速器科学技術推進協議会が主催する、先端加速器科学技術推進シンポジウム2011 in 九州「先端加速器の世界 いのちを守る、宇宙を創る」が開催され、およそ250名が参加しました。
シンポジウムでは藤本順平氏(KEK)の「先端加速器概説」と題した講演と、鈴木厚人KEK機構長の「ビッグバンを再現する究極の加速器 国際リニアコライダー計画」についての講演が行われました。
参加者からは「困難な時期だからこそ日本で実現して欲しい。またこの計画を是非世間一般に広めてほしい」、「理系離れが叫ばれて久しいので、転換の契機となれば何よりと思う」「加速器で色々なことができる(応用できる)ことが分かってとても勉強になりました」といった感想が寄せられました。
講演中の鈴木厚人機構長。
講演中の藤本順平研究機関講師。
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