小林克己氏が平成23年度日本放射線影響学会賞を受賞

 

KEK共同利用研究推進室長の小林克己教授が、平成23年度日本放射線影響学会賞を受賞しました。本賞は、放射線影響研究における業績がきわめて顕著であり、かつ本学会の進歩発展に多大な寄与をし、さらなる活躍が期待される者に授与される賞で、年に1名の会員が選考されます。

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日本放射線影響学会長・神谷研二氏(広島大学・原爆放射線医科学研究所長)より副賞の盾を授与される小林克己氏

小林氏は、放射光から発生する極紫外線・軟X線といったエネルギー領域が放射線による生体へのエネルギー付与の素過程を調べるのに有用であることに早くから着目し、東京大学物性研究所INS-SOR、KEKフォトンファクトリーに独自の装置を開発し、独創的な生物影響研究を続けてきました。放射光のエネルギー可変性を活かして、生体構成元素の内殻吸収によって、局所的な部位に集中的にエネルギー付与が起こることにより生物影響が増感されることを示し、がん治療への応用への道を拓きました。

また、放射光X線を光源としたマイクロビーム細胞照射装置を開発し、細胞内のどの部位に照射されたかが生物影響に重要であることを明らかにし、放射線影響研究にパラダイムシフトをもたらしました。この成果は国際的にも高く評価され、今後も先駆的な研究の展開が期待されています。

さらに、国際誌の執筆委員や国際学会の開催などの国際的な貢献が大きいことも、受賞理由として特筆されています。

小林氏の開発した数々の照射装置は、現在フォトンファクトリーのビームラインBL-27Bに常設されているマイクロビーム細胞照射装置をはじめ、すべて共同利用研究に公開されてきており、多くの研究者がそれらの装置を用いて成果をあげています。

授賞式および受賞記念講演は2011年11月17日〜19日に神戸商工会議所会館で開催された日本放射線影響学会第54回大会において行なわれました。

関連サイト

日本放射線影響学会
放射光科学研究施設 フォトンファクトリー

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