阿部仁氏、日本表面科学会奨励賞を受賞
#トピックス12月15日(木)、第31回表面科学学術講演会において開催された日本表面科学会の2011年度表彰式にて、阿部仁(あべ ひとし)KEK物構研准教授が奨励賞を受賞しました。この賞は、日本表面科学会会誌の"表面科学"または日本表面科学会発行の "e-Journal of Surface Science and Nanotechnology"に掲載された論文の中で注目度が高く、将来表面科学への貢献が大いに期待されると認められる35歳未満の会員に年一回授与されるものです。
阿部仁氏。フォトンファクトリーのビームラインBL-7Aに設置された静電半球型電子分光器の隣で。手にしているのは授与された盾。
受賞対象となったのは、「NOまたはCO吸着Fe/Cu(001)の磁性と構造」の研究で、第31回表面科学学術講演会において受賞記念講演が行われました。阿部氏はKEK放射光科学研究施設フォトンファクトリーのビームラインBL-7AおよびBL-11Aを利用し、磁性薄膜の磁気特性に関する研究を続けてきました。磁性薄膜は、巨大磁気抵抗効果(GMR)という特性をもち、大容量ハードディスクの読み取りヘッダなどに応用されています。また、膜厚や表面の分子吸着などによって磁化されやすい方向が大きく変わる性質(磁気異方性)があることも知られています。
阿部氏は、深さ方向の情報を知ることのできる深さ分解XMCD(X線磁気円二色性)法を用いて、厚さ原子数個分ほどのFe薄膜の磁気構造を調べ、NO(一酸化窒素)やCO(一酸化炭素)分子の吸着で、磁気異方性が大きく変わることを発見しました。さらに、BL-7Cを利用したEXAFS(広域X線吸収微細構造)法の実験で、CO分子の吸着によって、磁気構造に大きな変化が起こり、それに伴って結晶構造が変化していることを突き止めました。結晶構造の変化と磁気構造の変化が原子スケールで呼応して起こっていることを示す研究成果で、原子スケールの磁気記憶素子の開発を考える上で重要な情報と言えます。
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