KEKキャラバン、11月は神奈川、埼玉、京都、茨城で実施
#トピックスKEKキャラバンでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。11月は、神奈川、埼玉、京都、茨城(3か所)で実施しました。
講演中の藤本順平 研究機関講師11月5日(土)、神奈川県川崎市で「現代社会と放射線」というタイトルで講演会を行い、およそ30名が集まりました。KEKの施設・研究紹介を行った後、放射線の基本事項について解説しました。シーベルト、ベクレルなどの単位や、アルファ線、ベータ線、ガンマ線など、放射線の種類についても説明しました。一方、放射線の社会利用として、放射光を用いた物質構造の解明による創薬への応用の他、PET検診、がん治療などに応用されていることも紹介しました。
講演後のアンケートでは「放射線について、身近な食品を題材にご説明頂いたので、とても分かりやすかったです。その他、がん治療や宇宙・地球の話にも興味を持ちました」、「放射線の影響や、加速器の効能など、とてもわかりやすい説明でした。放射線も病気の治療に使われているとのことで、役立てて欲しいと思います」など、放射線の応用の話に関心が寄せられました。
講義中の樋口岳雄 助教11月13日(日)、埼玉県立豊岡高等学校にて、生徒20名を対象に出前授業を行いました。標準理論成立の歴史を取り上げ、X線・電子・原子核・陽子・中性子が発見された歴史や、素粒子の発見に用いられた実験装置「霧箱」についても紹介しました。また、最近OPERA実験から報告されたニュートリノの速度の観測結果についての解説や、放射線・放射能に関する基礎知識についての講義を行いました。続いて、霧箱を作成し、微弱な放射線源から得られるアルファ粒子の飛跡の観測実験を行いました。
加速器研究施設の佐藤皓 研究員11月14日(月)、京都市立堀川高校にて、生徒100名を対象に「素粒子と宇宙、先端加速器と素粒子研究の最前線」というタイトルで講演を行いました。前半は素粒子や4つの力、ダークマターとダークエネルギーなど素粒子物理の基礎について、後半はBファクトリー、大強度陽子加速器施設(J-PARC)、国際リニアコライダー(ILC)などの施設の紹介や、日本で行われている世界最先端の素粒子研究と、それらが私たちの社会に何をもたらすかについて解説しました。その他、現在研究者の間で議論になっている、宇宙の膨張速度、ニュートリノの速さ、クォーク・グルーオン プラズマ等の話題についても紹介しました。
講演後には、「素粒子や加速器とは何か、現段階の研究でどこまでわかっていて、どのような研究が進められているのか、最近話題となっているニュースの真偽は、などといった様々テーマでお話を頂けてありがたかった」、「素粒子って何なのか、ぼんやりとしか分かりませんでした。日本でこういった研究が行われていて、その研究の一部を知ることができ、今後どうなるのかと興味がわきました」といった感想が寄せられました。
放射線科学センター 桝本和義 教授11月25日(金)、古河市立総和南中学校にて、600名を超える生徒・教員・保護者を対象に「放射線の正しい理解と安全な生活について」の講演を行いました。放射能やその影響に関する基礎的な解説のほか、原発事故後の放射線量の推移や、安心して過ごすための心構え等について説明しました。
講演後のアンケートでは、「今までは放射線って何だろうと思っていたけれど、今回知って『こんなものなんだ』と少しほっとしました」、「放射線について、現在私たちの周りでどのようなことが起こっているのかが分かりました。今の生活に直接大きな影響があるわけではないということが理解できました」など、放射線に関する理解が深まったという感想が多数寄せられました。
11月30日(水)、つくばみらい市谷和原保健福祉センターで、16名の先生を対象に講演を行いました。講師をつとめたのは、放射線科学センターの伴秀一教授。「原子力発電所事故の影響のつくばでの測定と放射線の影響の基礎」というタイトルで講演を行いました。
講演後には、「3月11日の原発事故とその影響、放射線の単位、食品の暫定規制値についてよくわかった。利益と不利益のバランスを考え、対処していきたい」、「データを見せていただいたので、不安に思っていた放射線量について、正しく理解できました。私たち教職員が不安に思っている子供たちにしてあげられることは、食品汚染の心配ではなく、身近な場所の除染なのかなと思いました」といった感想がありました。
講演中の共同利用研究推進室の大須賀鬨雄 特別准教授同日、つくば市立筑波東中学校では生徒300名と保護者を対象に「科学の大切さ、その考え方」についての講演を行いました。歴史をさかのぼることで、様々な事象で実証可能であるという科学の持つ説得力を実例をもって示しました。講演のほか、参加者全員を対象に霧箱を用いた放射線の観測実験を行いました。
講演後に印象に残った言葉を尋ねると、「放射線はこわいものではない」という言葉をあげる生徒が多く、「放射線は身の回りに常にあって、あまり怖くないということに驚きました。科学者は疑問を投げかけられたときに納得のいく説明をしなくてはならないのだということにはじめて気がつきました」との感想がありました。
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