第3回日印シンポジウムでKEK研究者らが発表
#トピックス9月20日、21日の2日間、在日インド大使館オーディトリアム(東京都千代田区)で、第3回日印シンポジウム(The 3rd India-Japan Symposium on "Frontiers in Science & Technology: Successes & Emerging Challenges)」が開催されました。
このシンポジウムは、インド大使館の協力のもとNPO法人在日インド人科学者協会(ISAJ)が主催したもので、日印の研究者に最新の研究に関する情報交換を行う基盤を提供することを目的に、毎年異なるテーマを取り上げて開催されています。
今回のシンポジウムは、「科学技術の最先端:その成果と課題」と題して「生命科学」「地球科学」「加速器関連科学」「材料科学」「宇宙技術」の5つのテーマを取り上げました。「加速器関連科学」のセッションでは、KEKの野村昌治理事が座長を務め、ビデオによる機構紹介の後、KEKの研究者やインド人共同研究者ら3名が発表を行いました。
KEKの放射光科学研究施設フォトンファクトリーには、主にインド人研究者が使用するためのビームライン「インドビームライン」が設置されており、2011年から本格稼働しています。インドビームラインの客員研究員であるSrihari Velaga氏は、最近の放射光回折測定結果について発表を行いました。
また、KEKの素粒子原子核研究所の堺井義秀教授は「The Particle Physics at B Factory Experiment (Bファクトリー実験における素粒子物理)」の発表の中で、「Belle(ベル)実験」について報告しました。Belle実験は、KEKで行われている国際共同素粒子物理実験プロジェクトで、15カ国の60研究機関から、400名を超える研究者が参加して推進されており、インドからも5機関が参加しています。
総合研究大学院大学(総研大)の博士課程の学生であるArpit Rawankar氏は、現在KEKの先端加速器試験施設(ATF)で行われている「パルス・ワイヤ・モニタ」とよばれる極小のビームの断面形状を測定する装置の研究開発について発表しました。総研大は、研究所や博物館等をキャンパスとするユニークな大学院大学で、KEKは高エネルギー加速器科学研究科のキャンパスとなっています。KEKはこれらの講演の他に、3件のポスターセッションも行いました。
ISAJは2009年に創立されたNPO法人で、日本の研究所や大学で活動するインド人科学者のネットワークづくりを推進する組織です。2012年は、日印国交樹立60周年に当たる年でもあり、今回のシンポジウムでは、インド、日本の研究者を中心に、60名を超える参加があり、これまでの科学技術分野における両国の協力関係の成果と、今後の課題について議論が行われました。
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