『ガリレオ』第6話に超伝導磁気浮上コースターが登場! - 超伝導って何だ?

 


こちらが超伝導磁気浮上コースター。スイスイ動いて面白いです。右から2人目は、コースターの使い方を指導する超伝導低温工学センターの荻津透センター長。

フジテレビ『ガリレオ』の第6話で、湯川准教授による学生実験で使われていたのが「超伝導磁気浮上コースター」。実は、KEKの超伝導低温工学センターがデモンストレーションで使っているものです。

滑走するコースターは、-196℃まで冷やしたセラミック超伝導体です。番組では、水蒸気が湯気のように立ち上っていますが、非常に冷たいのです。この温度まで冷やすと、電流を妨げる性質が無くなって、電気が無制限に永久に流れる「超伝導状態」になります。

この超伝導技術は、KEKの加速器施設に欠かせない技術です。SuperKEKB加速器では、加速空洞という金属の筒の中で、電波を使って電子や陽電子のビームを加速しているのですが、この加速空洞を超伝導にする技術を開発したことで、電波の持つエネルギーが熱になることなく、全て電子や陽電子の加速に利用できるようになりました。この超伝導加速器空洞技術は、今では世界の多くの加速器施設でも使われています。

さて、超伝導磁気浮上コースターはどうして浮いているのでしょう?

湯川准教授は、「この発砲スチロールは超伝導物質を含んでいる。超伝導物質は極低温まで冷やされると、このように、マイスナー効果とピン止め効果で磁気浮上するんだ」と説明していました。

コースターの走る線路は、S極、N極、S極といったならびの3列の磁石からできています。それらの磁石から磁場が作られますが、超伝導状態のセラミック材料をその上に置くと、その磁場を打ち消すように表面に電流が流れて、磁石からの磁場を追い出してしまいます。これが"マイスナー効果"です。

またこの時、セラミック材料の超伝導性能が一律でないため、超伝導性能の弱い部分に磁場の一部が取り込まれ、まるでセラミック材料が磁場によって"ピン止め"されたような状態になります。湯川准教授が「行くぞ」と言ってから、コースターを軽く押しつけているのは、セラミック材料に磁場の一部を取り込む"ピン止め"を行っているのです。セラミック材料は、磁場を追い出す反発力と、ピン止めによる引力とがつりあって、安定して浮上します。

この状態でコースターを押すと、普通のローラーコースターと同じ様にその力だけで加速され、レールが下り坂なら加速し、登り坂なら減速します。一方、コースターが横方向にずれようとすると、"ピン止め"による引力が元の場所に押し戻す力となり、コースターは線路の外側に飛び出すことなく、終点までたどり着くことができるのです。

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