この夏、岩手県立盛岡第一高等学校 他8機関が参加<実習受入>

 

2013年9月18日

7月4日(木)から8月8日(木)の間に、9機関延べ345名の高校生ら(引率含む)が実習受入事業に参加しました。

実習受入事業はKEKが毎年全国の高校生及び中学生を対象に実施している事業です。【見学】、【講義】、【実習】で構成しており、参加した生徒たちは猛暑にも関わらず終日熱心に取り組んでおりました。

【見学】では展示ホールでKEKの概要をビデオで学んだ後、KEKB展示室、筑波実験棟のBelle測定器、富士KEKBトンネル、放射光科学研究施設(PF)、超伝導リニアック試験施設棟(STF)などを見学して回り、生徒たちは実際の研究現場を肌で感じていました。
【講義】では、素粒子物理、加速器、ヒッグス粒子、相対性理論、宇宙論など、講師の研究者が自分の専門分野を高校生向けに工夫をこらして講義しました。生徒たちは熱心にメモをとり、活発な質問で予定時間を超えるほどでした。また、講師が研究者になるまでの体験談を聞き、将来への夢を膨らませていました。
【実習】では、霧箱製作、分光器製作、宇宙線観測など、KEKで行われている研究の原理を学びながら、製作や観測の体験をとおして自然科学への興味を深めていました。

以下、事業の様子を簡単にご紹介します。


熱心に講義を受ける生徒たち

7月4日(木):岩手県立盛岡第一高等学校2年生32名
PF、STF、KEKB展示室、Belle測定器の見学後、午後は霧箱製作、「素粒子物理学とは」と「ILC加速器について」の講義を受けました。
生徒たちから「素粒子物理学は、世界で最も小さい物を扱っているのに、それが宇宙全体のことに関わっているのは不思議で、おもしろいと思った」「リニアコライダーが岩手県に設立され、世界最先端の研究を行ってほしいと強く願っているとともに、ぜひこの研究に尽力していきたいと考えている」等の感想が寄せられました。


PFコントロール室の見学風景

7月23日(火):千葉市立千葉高等学校1年生37名
KEKB展示室、Belle測定器、PFを見学し、霧箱製作、「研究所・研究施設と言う職場で働いてみて」の講義を受けました。
生徒たちからは「理系志望なので、今回の見学、実習、講義で進路の種類が広がった」「今回の経験をふまえて将来について真剣に考えたい」等の感想があり、将来について良い刺激になった様子でした。

 


Belle測定器の見学風景

7月26日(金):大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎1・2年生19名
KEKB展示室、Belle測定器、富士KEKBトンネル、PFの見学後、午後は霧箱製作、「加速器による物質科学」の講義を受けました。
生徒たちから敷地や装置のスケールの大きさに驚いたという声が多く寄せられた他、「内容は難しかったけれど、物理が好きになった」「物理はとても難しそうだが、興味をもつきっかけとなった」などの感想が寄せられました。

 


ノーベル賞展示コーナーで説明を受ける生徒たち

7月29日(月):埼玉県立川越高等学校1年生42名
Belle測定器、富士KEKBトンネルの見学後、午後は「巨大加速器LHCで探るヒッグス粒子の謎」、「相対性理論と宇宙論-アインシュタインはどこまで正しいのか-」の2つの講義を受けました。
生徒たちから「大規模な施設と実験装置に圧倒された」「実際に見たBelle測定器は予想より大きくてびっくりした」など、驚きの声が聞かれました。

 


KEKB展示室で装置の説明を受ける生徒たち

7月30日(火):栃木県立宇都宮女子高等学校2年生19名
KEKB展示室、Belle測定器、富士KEKBトンネルの見学後、午後は霧箱製作、「研究者への道」と題して進路や研究者の仕事に関する講義を受けました。
生徒たちから「これから進路を考える上で参考になる部分が多かった」「これからの研究所の方針、研究者になる為に必要な事を知ることができた」などの感想が聞かれました。

 


富士KEKBトンネルを見学する生徒たち

7月31日(水):宮城県古川黎明高等学校1・2年生21名
KEKB展示室、Belle測定器、富士KEKBトンネル、PFの見学後、午後は「加速器で拓く未来への道-なるほど、加速器って身近なものなんだ-」の講義を受けました。
生徒たちから「初めて聞く言葉も多かったが、医学への応用ということで、とても興味深く、感じることができ、学ぶことができた」「今回の研修で、物理は生物と深く関わりがあり、医療技術として重要であると知り、興味を持つことができた」という感想が聞かれ、有意義な研修となった様子でした。

 


霧箱の製作説明を受ける生徒たち

8月1日(木):岩手県立水沢高等学校2年生31名
午前中に「最初に発見された反粒子「陽電子」の性質と応用」の講義と霧箱製作を実習し、午後はPF、富士KEKBトンネル、KEKB展示室、Belle測定器の見学後、分光器製作の実習を受けました。
生徒たちから「普段見ることのできない場所や機械を見ることができたし、霧箱や分光器を作って実験などができて良かった」「もともと興味がある分野で、実際に見学ができて嬉しかった」などの感想が聞かれ、楽しく学んだ様子でした。


宇宙線観測を行う生徒たち

8月2日(金):宮城県立仙台第三高等学校1・2年生40名
KEKB展示室、Belle測定器、PFの見学後、「宇宙創成の謎にせまる国際リニアコライダー計画」の講義を受けました。午後は、宇宙線観測の実習を受けました。
「講義や見学でさらに理科系のものに興味がわいた」「今回の研修で物理にもっと興味がわいた、もっと勉強する」など理工学系への進学に興味を持った生徒も多かったようです。

 


霧箱で放射線を観測する生徒たち

8月8日(木):一関市教育委員会(中学生60名)及び気仙沼市教育委員会(中学生16名)
午前中は「放射線概論」の講義、霧箱製作の実習を受け、午後は3つの班に分かれKEKB展示室、Belle測定器、富士KEKBトンネル、STFを交代で見学しました。
実習では、会場の照明を落として観察を始めると、生徒たちは飛んでいる放射線の飛跡を非常に興味深そうに追っていました。そして、「流れ星のようで綺麗だったので、ずっと見ていた」「もっと勉強して理学博士になりたい」などの微笑ましい声が聞かれました。

今年度は、さらに7機関の参加が予定されています。

KEKでは毎年、高校生実施等受け入れ事業に参加を希望する中学校・高校を募集しています。応募についてご検討いただく際は、以下のページをご参照ください。

関連サイト

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