KEKキャラバン、7月は神奈川、京都、福岡、奈良、青森、東京、北海道に派遣

 

KEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。7月は神奈川、京都、福岡、奈良、青森、東京、北海道で実施しました。


藤沢市立本町小学校での講演の様子

7月1日(月)、藤沢市立本町小学校(神奈川県藤沢市)にて、5年生児童102名を対象に「宇宙をつかまえる」と題する講演を実施しました。

講演ではガリレオやニュートン、アインシュタインなどの博士を紹介しながら、ブラウン運動で、宇宙がつぶでできていることを説明しました。また、霧箱についても紹介し、ベル測定器や加速器についても解説しました。

アンケートでは、「うちゅうが小さなつぶつぶで出来ているというのがとても不思議でした」、「『高エネルギー加速器研究機構』でうちゅうが調べられるって知ってびっくりした」などの感想がありました。


京都府立城南菱創高等学校で講演する菊谷 英司 准教授

7月12日(金)、京都府立城南菱創高等学校(京都府宇治市)で3年生38名を対象に、「素粒子物理実験最前線」と題する講演を実施しました。

講演の前半では、「素粒子とは何か」の説明に続き、日本がこの研究分野で果たした役割を、加速器の発展を交えて説明しました。加速器の原理についても説明。後半には、KEKB加速器とBelle測定器の説明を行い、ノーベル賞に繋がる実験がどのように進行するのかを解説しました。また昨年の欧州合同原子核研究機関(CERN)の大型ハドロンコライダー(LHC)でのヒッグス粒子の発見に触れ、どのような加速器を使ってこの発見が行われたかを説明した。また「将来には」ということで次世代の加速器、国際リニアコライダー(ILC)について説明しました。 

アンケートでは、「素粒子というものが技術の進歩に伴って新しく発見されていくものだということに興味を持った」、「KEKはすごかったなあと思ったし、こんなものが日本にあるんだなと迫力を感じた」などの感想がありました。


明治学園中学校で講演する橋本 省二 教授

7月17日(水)には、明治学園中学校(福岡県北九州市)において、2年生40名を対象に「宇宙と素粒子のはなし」と題する講演を行いました。ビッグバンと素粒子のかかわりなどを紹介しました。

アンケートでは、「どんなに技術が進んでいても、解明されていないことが宇宙にはたくさんあることを知りました」、「今ではどこまで続いているか分からない程、遠くまで続いている宇宙も、はじめは小さかったということを初めて知り、宇宙ってすごいんだなあと改めて思いました」などの感想が寄せられました。


サイエンスフォーラムの講演の様子

7月21日(日)には、奈良県奈良市北部会館市民文化ホールにおいて開催された「サイエンスフォーラム」で、中学生や高校生、教員100名を対象に「巨大な加速器で探る素粒子と宇宙」と題する講演を行いました。

アンケートでは「素粒子について研究することによって宇宙の謎が解き明かされるということにとても関心を覚えました」、「素粒子という目に見えないものを研究するのに巨大な設備を国をまたいで協力して作ろうとしていると聞いて、目に見えない事柄でも影響はとても大きいものなのだと思った」などの感想がありました。


青森県立五所川原高等学校で講演する芳賀開一 講師

7月26日(金)には、青森県立五所川原高等学校(青森県五所川原市)において、理数科の1、2年生78名を対象に「加速器は夢の顕微鏡」と題する講義を行いました。

講義冒頭でDVDを使ってKEKを紹介。物理学は、身の回りについての「少し詳しい話」であるというところから、物理的な考え方を解説しました。続いて、物が見えるのは何故かということから、光の話をし、光の波としての性質を説明。レーザーポインターと回折格子フィルムで、回折現象を説明し、原子のように小さな物を見るには、X線の回折現象などを利用している事を説明。そこからX線などを生み出す装置である、加速器を紹介しその原理を説明。原子よりも小さい素粒子を見るには物質に伴う波を使う必要があり、短い波長の波を作るには大きなエネルギーの加速器が必要なので、加速器は大きな顕微鏡でもあると説明しました。

アンケートでは「ブラックホールの話や素粒子を研究することで宇宙の謎を知ることができるという話を聞いて、素粒子という小さなものを調べることが宇宙というとても大きなものを知ることになるのだと思うと本当にすごいなと思うと同時に、すごく興味がわきました」、「日本人の科学者がノーベル物理学賞を多く受賞しているという事実はとても光栄だし、そのどれもが大変重要な研究なので、私も将来こういう研究に少しでも関わっていきたいなと思った」などの感想がありました。


科学技術館での講演の様子

7月27日(土)には、科学技術館(東京都千代田区)で開催された青少年のための科学の祭典において、「宇宙はなにからできているんだろう」と題する講演を実施しました。小学生を中心に30名の参加がありました。

講演は、KEKの紹介からスタート。次いで、加速器の原理について紹介。加速器がビッグバンの解明する原理について解説し、標準理論についても説明しました。最後に、次世代の加速器、国際リニアコライダー(ILC)についても紹介しました。


小平町立小平小学校での霧箱観察の様子

7月31日(水)、小平町立小平小学校(北海道留萌郡小平町)で、小平小学校と小平町立鬼鹿小学校の児童を対象に「宇宙はなにでできているんだろう」と題する講演と霧箱観察実習を実施しました。小学3~6年生およそ70名が参加しました。

講義は、KEKの紹介からスタート。物が何からできているかを知るには実験や観測が必要なことを説明しました。星や宇宙の観測について説明し、次に物質の構造、分子、原子、原子核、クオークという成り立ちを説明。宇宙の創成がビッグバンで始まり、その直後から今までの成り立ちを理解するには素粒子のことを知らなければならず、宇宙論と素粒子論の結びつきについて解説しました。後半には、素粒子物理実験の手段としての加速器を説明。現在では医学、農学、工学、産業界など様々な方面で加速器が活躍していることを紹介しました。最後に霧箱の原理の説明と放射線源であるマントル繊維の話をし、霧箱実験を実施し、全員が軌跡の観察に成功しました。

アンケートでは、「実験がおもしろかったです」、「人間や水は同じものからできているなんてビックリ」といった感想がありました。

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