高エネルギー加速器研究機構(KEK)における不適切な会計処理について
#プレスリリース平成26年6月17日
大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
高エネルギー加速器研究機構(KEK)の平成25年度の機械・設備の発注契約の中に、年度末未納品について不適切な処理があることが判明した。すなわち、仕様を完全に満たす物品が年度末までに納品されていないにもかかわらず、納品が完了したものとして、納品検収、受領、検査等の処理がなされていたものがあった。公的資金を使用して研究活動を行うKEKにおいては、あってはならない事案であり、現在、KEKは事実関係の調査、再発防止策の策定等を進めている。
1. 調査委員会設置の経緯
5月1日にKEK宛てに年度末未納品について不適切な処理があるとの匿名の投書があった。KEKは直ちに予備調査を実施し、その結果を受けて、5月8日に外部有識者を含む調査委員会を設置した。調査委員会は機構内役職員6名、機構外有識者2名(公認会計士、弁護士)で構成。
2. 調査の概況
調査委員会は、通報のあった契約案件以外の類似の事案の存否を把握するため、職員に対して自主申告を求めた。その結果、年度末までに完成品の全品納入が完了していない可能性がある契約40数件(契約総額約19億円)を同定した。調査委員会は、これまでにこれらの調達・納品検収行為等に関係する職員40数名に対してヒアリングを実施した。
KEKにおける納品の確認行為は、納品検収センターにおける納入物と納品書の確認後、契約の適正な履行を確保するための業務を委任された監督職員による確認と、納入物等の確認を命じられた検査職員による確認と署名を経て、支払いの事務手続きを行う。今回調査対象となった製造契約案件については、その全てにおいて、必要な手続きが書類上とられていたことが確認された。
調査委員会では、さらに、これらの40数件に関係する納入業者数社に対するヒアリングを行い、資料の提出を求めた。年度末までに完成品が納品されていなかった契約のほぼすべては特注品の製造に関する契約であり、4月以降に納品完了したもの、若しくは現在製造途上のものもある。これらについては、調査委員会において事実関係を精査中である。
今回問題となった契約(契約総額約19億円)の大部分(約90%)は平成25年9月以前に結ばれていたが、いずれも想定を超える工期遅延及び、納期管理の不徹底の複合的な理由によって、納品が年度を越えることとなったにもかかわらず、適正な手続きは取られていなかった。
なお、これまでの調査では、架空取引、預け金等に相当する事案は見出されていない。また、その他の業者も含め、平成26年2、3月に納入予定であった50万円以上の約2,200件の契約についての調査も実施したが、上記以外に不適切な会計処理は見出されていない。
3. 今後の予定
調査委員会において、事実関係の確定を行う。
未納品について、早急な製造、納品を求める。
関係規程に従い、関係者に関する処分及び指導を行う。
過去にわたる類似事例の調査を行う。
調査委員会の提言を参考に、外部の第三者による委員会において再発防止策をまとめる。
本件について、関係の皆様に大きなご心配とご迷惑をおかけすることになり、深くお詫び申し上げます。
機構長 鈴木厚人
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