大型低温重力波望遠鏡KAGRAの地下トンネル完成式典開催

 

完成したトンネルの様子

高エネルギー加速器研究機構(KEK)が東京大学宇宙線研究所、自然科学研究機構・国立天文台とともに建設を進める大型低温重力望遠鏡、KAGRAを格納する地下トンネルの掘削が完了し、7月4日、報道陣に公開されるとともに、関係者を集めた完成式典が行われました。

KAGRAはアインシュタインの一般相対性理論で予言される重力波の直接的な検出を目指すプロジェクトです。 実験室となる地下空洞は、岐阜県飛騨市神岡町池の山にあり、2012年より掘削が進められてきました。 重力波望遠鏡のプロジェクトは、米国およびヨーロッパにもありますが、設置場所として地下環境を選んでいるプロジェクトはKAGRAだけです。 これは、信号をかき消してしまう地面の振動雑音が、地表の100分の1〜1000分の1と小さく、極めて微弱な信号である重力波の観測に有利になるためです。

KAGRA地下空洞の全体像。 それぞれ長さ3キロメートルの2本の腕を持つL字型構造をしたレーザー干渉計。 (画像提供:東京大学宇宙線研究所)

1辺3kmのL字型のトンネルを持つKAGRAでは、今後、実験設備の整備、実験装置の搬入と構築を経て、2015年末に最初の試験運転が行われ、2017年度には、KEKが開発した極低温鏡を用いて重力波観測が開始される予定です。 完成式典で、KEKの岡田安弘理事は「3機関が合同で進めるこのプロジェクトは科学と技術の両面で参加する機関が価値観を共有できる点が重要です。科学的には、重力に関係する重力波と、最近のヒッグス粒子の発見により存在が明らかになったヒッグス場は、ともに現代の素粒子物理学の基本である宇宙全体に広がる波や場のひとつであり、宇宙と自然法則の解明に大きな役割を果たします。また、技術的にはKEKの加速器技術で培った低温、真空技術を、単に応用するだけでなく、このプロジェクトでさらに発展させていくことができます」と述べ、さらに「3機関で協力して次のステップに進んでいくことが、日本にとっても、次の世代を担う子供たちにとっても大事なことになるでしょう」と結びました。

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