KEKキャラバン、6月は岩手、千葉、東京、岡山に派遣
#KEKキャラバン #トピックスKEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。6月は岩手、千葉、東京、岡山で実施しました。
金ヶ崎町立三ヶ尻小学校(6月5日)の授業風景
6月5日(木)~6日(金)にかけて、岩手県胆沢郡金ヶ崎町内の小学校(金ヶ崎町立三ヶ尻小学校、同西小学校、同第一小学校、同金ヶ崎小学校、同永岡小学校)5校において、5、6年生170名を対象に「宇宙をつかまえるILC実験」と題する講演と霧箱観察実習を実施しました。
講演は、「ILCの意味」についての説明からスタートしました。続いて、ILC加速器の概要、ILCで使う測定器の概要について解説。そして、「実験とは」どんなことなのかを、実際にボールを使った実験で説明しました。また、ILC実験がさぐる宇宙のきまりとはどんなものなのかを紹介。最後に、1人1台ずつ霧箱を観察し、全員が放射線の飛跡の観測に成功しました。
アンケートでは、「きり箱が三回ノーベル賞を取ったのが一番のおどろきでした」、「ILCのことがよくわかり、自分が実験をしようかなという気にもなりました」、「宇宙は粒でできているという言葉が印象に残りました」、「まだだれもわからないことを日本でじっけんしてなぞをときあかすというのにすごくわくわくして、いろんな実験をしてもっともっといろんなことを発見してみたいと思った」、「ILCの科学者になってみたい」などの感想がありました。
金ヶ崎町立西小学校(6月5日)での実験の様子
金ヶ崎町立第一小学校(6月6日)で講演する藤本 順平 講師
金ヶ崎町立金ヶ崎小学校(6月6日)の授業の様子
金ヶ崎町立永岡小学校(6月6日)での霧箱観察中の様子
猿沢公民館で講演する横谷 馨 名誉教授
6月10日(火)には、猿沢公民館(岩手県一関市)において「ILCと物理の世界」と題する講演を実施し、一般の方40名が聴講しました。
講演では、これまでの物理学の進歩についての解説を実施。続いて、ILCからわかる物理、宇宙との関連、ILCの構造などについて、初歩的な内容から説明しました。
講演後のアンケートでは、「暗黒物質という言葉が印象に残った」、「ILCの研究目的である素粒子ビッグバン創るという事は理解出来た」などの感想が寄せられました。
千葉県立船橋高等学校で講演する橋本 省二 教授
6月11日(水)、千葉県立船橋高等学校(千葉県船橋市)において、高校1~3年生30名を対象に、「宇宙の未解決問題について」と題する講演と霧箱観察実習を行いました。
前半の講演では宇宙と素粒子について概観しました。次に、素粒子を見る検出器という関係で、霧箱の観察実習を行いました。その後、残された謎であるダークマターなどに関して紹介しました。
講演後のアンケートでは、「宇宙について分かっていることは沢山あると思っていたが、それが全宇宙のほんの数%しか知られてない、と知ってとても驚いた」、「霧箱を使って素粒子を観測することができたのに感動しました。今後の課題研究の参考にしたいと思います」といった感想が寄せられました。
星美学園中学校で分光器製作を指導する宇佐美 徳子 講師と阿部 仁 准教授
6月19日(木)、星美学園中学校(東京都北区)において、3年生81名を対象に、「英語で分光器をつくろう」と題して、講義と分光器製作実習から成授業を行いました。この授業は国際プログラムの一環として実施されたもので、講義も実習も全て英語で行なわれました。
前半は、まず光や色・波長について説明し、製作する分光器がKEKで実際に研究に使われているものと同じ原理の「装置」であることを理解してもらいました。また、講師2名がそれぞれフォトンファクトリーで行なっている自身の研究について紹介しました。後半は、英文で書かれた説明書を見ながら分光器製作実習を行い、様々な光源を観察しました。最後にセロファンやレーザーポインターなどを使ったクイズを行い、光と分光について理解を深めてもらいました。
講義後のアンケートでは、「理科と英語の両方を学べてとっても良かったです」「光にはいっぱい種類があることを初めて知った。ちがいが、にじ色で表されるのを知ってすごかった」、「光がないと物を見ることができないという言葉が印象に残りました」などの感想が寄せられました。
岡山県生涯学習センター 人と科学の未来館サイピアで講演する佐藤 皓 名誉教授
6月22日(日)、岡山県生涯学習センター 人と科学の未来館サイピア(岡山県岡山市)において、日本宇宙少年団岡山桃太郎分団のメンバー小学3年生~中学2年生50名を対象に、「宇宙は何からできているんだろう~見えないものを見る~」と題する講演を実施しました。
講演では「見えないものを見る」ためには対象物質の出す可視光以外の情報(信号)をどう捉えるかという工夫が必要ということを前置きに述べました。宇宙の成り立ちや素粒子物理をどのように研究していくかを解説。続いて、分光器が光のどういった性質に基づいた原理によるものなのかを説明しました。また、凸凹レンズの組み合わせに光がどのような振る舞いをするかを数名ずつのグループに分けて順番に卓上実験をして見せました。
アンケートでは、「ヒッグス粒子が加速器の実験で見つけられたことを初めて知った」、「プリズムで、光のくっせつがおもしろかった」などの感想がありました。
調布市北部公民館で講演する藤本 順平 講師
6月28日(土)、調布市北部公民館(東京都調布市)において、一般の方30名を対象に、「量子の不思議な世界をのぞいてみよう~ノーベル賞のヒッグス粒子は本当に粒子??~」と題する講演を行いました。
KEKの紹介からスタートした講演では、前回の講演で解説した、原子説、加速器、標準理論についての復習を実施。新たに、電子線2重スリットの実験やシュレディンガーの猫、量子コンピューターを紹介しました。最後に将来の加速器ILCについて解説しました。
講演後のアンケートでは、「そこまで得意じゃない物理に少しきょう味が出てきたから、将来天文学者に向けてがんばりたいと思いました」、「私は文系人間で理系音痴なのですが、科学技術は人間の暮らしを支える重要な基盤ですし、純粋に学問としての面白さもあると思います。今後私も科学技術の発展を見守り応援していきます!」などの感想がありました。
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