夏期に12団体 延べ447名の高校生らを受入<実習受入>

 

7月から8月の高校生等実習受入に、12団体延べ486名の高校生ら(引率含む)が参加しました。

高校生等実習受入は、KEKが毎年全国の高校生及び中学生を対象に、学校では触れにくい研究現場の様子を肌で感じていただくことを目的に、【見学】、【講義】、【実習】を通して自然科学への興味が深まることを目標に実施しているプログラムです。

【見学】では、展示ホール等でKEK紹介ビデオを見た後、KEKB展示室、筑波実験棟のBelle II測定器、富士KEKBトンネル、放射光科学研究施設(PF)、超伝導リニアック試験施設棟(STF)などを見学しました。
【講義】では、素粒子物理、ヒッグス粒子、放射光、遺伝子、ILC、加速器、相対性理論・宇宙論、物質構造など講師の専門分野の話や、「研究者への道」など講師の体験談を聞きました。
【実習】では、霧箱製作、分光器製作、宇宙線観測など、KEKで行われている研究の原理を学びました。

参加した生徒たちは、猛暑にも関わらず終日熱心に取り組んでおりました。
以下、受講風景を簡単にご紹介します。


ノーベル賞展示コーナーで説明を受ける生徒たち

7月2日(水):岩手県立盛岡第一高等学校2年生37名
KEKB展示室、Belle II測定器、富士KEKBトンネル、PFの見学後、午後は霧箱製作、「素粒子物理学とは」と「国際リニアコライダー(ILC)の加速器について」の講義を受けました。

生徒たちから「どれもとても複雑な装置だとは感じたが、それぞれの施設の役割が理解できた」「霧箱がどのような仕組でできているかを理解できた」「放射線を自ら可視化できて感動した」「見学してきたものを講義で詳しく聞くことができて、より理解が深まった」「ILCに関わりたいと思っているので、これから自分でも勉強して行きたい」「私達の世代が担っていく問題について詳しく知れた」など、様々な感想が寄せられました。


KEKB
展示室で装置の説明を受ける生徒たち

7月28日(月):埼玉県立川越高等学校1年生28名・2年生6名
KEKB展示室、Belle II測定器、富士KEKBトンネルを見学し、午後は「ヒッグス粒子の実験的検証」「身近な相対性理論から宇宙論まで」の講義を受けました。

昨年も参加した生徒たちからは「昨年と変わって、Belle周辺のチューブが外されて、新しい電磁石が取り付けられていたり、トンネル内の機器の総点検が行われていたりとSuperKEKBが次第に完成していく様子が楽しみ」「2度目の参加なので内部構造を理解しながら見ることができた」などの感想がありました。また、「エネルギーを質量に変えることで理論を検証していく作業はとても興味深く面白い」、引率教諭からは「本校で行っているSSH授業と連動した内容でとても実感のもてる講義でした」などの感想があり、充実した研修となったことが伺われました。

7月30日(水):富山県立富山高等学校2年生52名
KEKB展示室、Belle II測定器、富士KEKBトンネル、の見学後、「研究者への道」の講義を受けました。午後は宇都宮女子高校と合同実習で霧箱を製作しました。

生徒たちから「トンネル内を歩き回ったりすることで、施設内の陽子、電子の動きや仕組みを詳しく知ることができて良かった」「大きくて複雑な装置がたくさんあったが、説明も展示も詳しくてとても解り易かった」「今回、初めて見るものや聞くことがたくさんあり、とても興味深かった。多くのことをもっと詳しく知りたいと思った」などの感想が寄せられ、この研修が物理への興味を深める一助となった様子でした。

7月30日(水):栃木県立宇都宮女子高等学校2年生20名
PF、KEKB展示室、Belle II測定器、富士KEKBトンネルの見学し、午後は富山高校と合同実習で霧箱を製作した後、「研究者への道」の講義を受けました。

生徒たちからは「加速器やその他の装置を見ていると、本当にこれを作ったんですかと思うくらいすごかった」「どのような仕組で作動しているか、分かるたびに楽しくなってまた来たいと思った」、また「将来のことを考えるきっかけとなった」「経験を踏まえてのアドバイスはとても参考になった」「モチベーションが上がった」「有意義時間を過ごせてよい経験になった」など驚きと感激の声が聞かれました。


霧箱製作の説明を受ける生徒たち


製作した霧箱で放射線を観測している様子

7月31日(木):岩手県立水沢高等学校2年生35名
KEKB展示室、Belle II測定器、富士KEKBトンネル、PFを見学し、午後は仙台第三高校との合同受講で、宇宙線観測の実習、「宇宙創成の謎にせまる国際リニアコライダー計画」「放射光が拓く新しいX線イメージングの世界-加速器を用いた最先端医学応用研究-」の講義を受けました。

生徒たちからは「加速器は迫力があり衝撃的だった」「いろいろな装置があり、規模も大きく、様々な課題に取り組んでいることに驚いた」「安全によく気を配っていてとても良かった」など、また講義については「ILCの話が聞けて身近に感じた」「地元の将来を考える上でも何ができるかを知る上で大変参考になった」「放射光が医療に役立つことを知ることができて良かった」などの感想から、この研修が生徒たちに刺激を与えたようでした。

7月31日(木):宮城県仙台第三高等学校1年生18名・2年生22名
PF、KEKB展示室、Belle II測定器、富士KEKBトンネルを見学し、午後は水沢高校との合同受講で、宇宙線観測の実習、「宇宙創成の謎にせまる国際リニアコライダー計画」「放射光が拓く新しいX線イメージングの世界-加速器を用いた最先端医学応用研究-」の講義を受けました。

生徒たちから「地下にものすごい数の装置があり、それらを動かす電気エネルギーはとんでもない量だと思った」「加速器が医療分野に利用されていることを知って良かった」「X線のことが良く分かった」、また全体の感想では「複雑で難しかったけど、専門的な話を詳しく聞くことができて楽しかった。理系分野への興味が湧いた」「見たことない施設が見られて、うれしかった。粒子物理学に興味を持った」「生命や宇宙についての研究をしてみたいと思っていたので、とても興味深く面白かった」などの感想があり、今後の進路の刺激となったようです。


観測写真から宇宙線を測定している様子


宇宙線観測の説明を受ける生徒たち


製作した分光器で各種光源のスペクトルを比較している生徒たち

8月1日(金):静岡県三島北高等学校2年生57名
午前は分光器製作を実習し、午後は「遺伝子の話-歴史から最先端まで-」の講義を受けた後、PFを見学しました。

生徒たちから「映像を見ながら聞けたので、色が分かれて見える仕組みが良く分かった」「生物をとっていないため難しかったが、遺伝子の話はとても興味深かった」「施設がとてもきれいで広くてすごかった」「初めて見るものが多く、すごい桁の速さや、すごく小さい原子など、自分の知らない世界に関心を持った」「研究所の見学はあまり機会がないので、今後の進路の参考になった」「研究には沢山の知識と時間が必要だが、やりがいと達成感があって、とても良いと思った」などの感想があり、生徒たちの今後への意欲が感じられました。


熱心に講義を受ける生徒たち

8月4日(月):埼玉県立大宮高等学校1年生24名・2年生10名
KEKB展示室、Belle II測定器を見学し、午後は宇宙線観測の実習後、「加速器で拓く素粒子物理の世界」の講義を受けました。

「機器は巨大だが仕組みはとても細かくて驚いた。一つ一つの仕組みについてもっと知りたいと思った」「なぜこの実習をやったのか、この実習から何が解るのかしっかり理解することができた」「宇宙の起源の解明に、少しずつ近づいていることを感じた」などの感想のほか、「物理学に対してはしばらく違和感をもっていたが、今回考え直してみるきかっけとなった」「この分野には疎かったが、今回の経験で興味を持つことができた」など、今回の研修をきっかけに生徒たちの物理への興味が湧いてきた様子でした。


富士KEKBトンネルを見学する生徒たち

8月5日(火):北海道札幌開成高等学校1年生32名
半日コース(午後)で、富士KEKBトンネルの見学後、「量子ビーム生成と加速」の講義を受けました。

生徒たちからは「子供のころからテレビで見ていたような加速器の実物を見ることができて嬉しかった」「今まで素粒子界に対して持っていた憧れがさらに強いものとなった」、講義については「少し難しかったが、内容に興味を持った。いつか内容を理解できるようになりたい」「細かい式などは解らなかったが、目的やイメージはつかむことができた。ビッグバンを再現するのはとても楽しそうだしやってみたい」「全体として「自分も将来、こんな研究をしてみたいと思った」「素粒子、宇宙には興味があったが話を聞くのは初めてで、とても面白かった。将来は、このようなことを理解して研究して行くことができたら、と思った」「こういう研究施設で働くことも楽しそうだと思った」などの感想があり、研修が刺激となって生徒たちに意欲が湧いたようでした。


筑波実験棟のBelle II測定器模型で説明を受ける生徒たち

8月6日(水):気仙沼市教育委員会(中学3年生)26名
STF、KEKB展示室、Belle II測定器を見学し、午後は「宇宙をつかまえる ILC」の講義と霧箱製作の実習を受けました。

生徒たちから「見たこともないものがたくさんあってすごく貴重だった。日本にこんなすごいところがあったんだなあと思って驚いた」「加速器や測定器の内部まで見えてとても分かりやすかった」「最初は電子や加速器、ILCなどで難しい言葉がたくさんでてきて大変だったが、最後には大体のことを理解できたと思った」「宇宙、物質、生命の謎をとく加速器を見ることができて、新しいことがどんどん分かっているのがすごいと思った」「KEKやILCについてほとんど知らなかったが、見学や体験を通して理解できたと同時にこれからの未来へと活用できる用途がたくさんあると感じた」などの感想が聞かれ、楽しく学んだ様子でした。



STF
の超伝導加速空洞の説明を受ける生徒たち
8月8日(水):一関市教育委員会(中学生3年生)60名

午前中は霧箱製作の実習を受け、午後は2つの班に分かれKEKB展示室、Belle II測定器、富士KEKBトンネル、STFを交互に見学した後、「宇宙をつかまえるILC」の講義を受けました。
生徒たちから「キレイだというのが第一印象」「広くて明るい感じ」「加速器のあるところは地下深くて長くて驚いた」「世界の国旗が掲げてあって、いろいろな国の人が働いていると肌で感じた」や、「用語を分かりやすく説明してくれてうれしかった」「なんとなくだったILCのことについてより興味を持てたし、理解を深めることができた」「ILCを想像しながら施設を見ていたらここで働きたいなあと思った」「将来の進路について悩んでいたが、私はやっぱり科学に興味があるなあと改めて知ることができた」「今まで文系の職業に進みたいと思っていたが、視野を広くするきっかけとなって良かった」などの感想があり、生徒たちの今後の取り組みに刺激となったようです。


PF渡り廊下から実験ホールを見学する生徒たち

8月12日(火):大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎1年生17名・2年生3名
KEKB展示室、Belle II測定器、富士KEKBトンネル、PFの見学後、午後は霧箱製作、「中性子で観る物質構造」の講義を受けました。

生徒たちからは「調整中だったのが少し残念なところもあったが、実物を見ることができてすごくおもしろかった」「テレビでBelleの装置を見たことがあり、これかっと興味を持てた」「施設は地下に埋まっていて見えないものだと思っていたが、触れるくらい近くまで行けて驚いた」「普通高校では学べないようなことを学ぶことができた」、引率教諭からは「トンネル内を通って見学できた点が良かった。PFは実験ブースの近くまで行けないものかと思う。施設見学の説明は、年ごとにわかりやすくなってきている印象で有り難い」などの感想があり、今後の実習受入事業に参考にしていきたいと思います。

今年度は、さらに4団体の受入を予定しています。

KEKでは毎年、「高校生等実習受入」を希望する中学校・高校を募集しています。応募についてご検討いただく際は、以下のページをご参照ください。

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